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チャットモンチー 2017年8月6日 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017

チャットモンチー
2017年8月6日
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
(国営ひたち海浜公園)

 チャットモンチー2年ぶりのROCK IN JAPAN FESTIVAL。PARK STAGEのトップバッター、10:30からの出演です。

 9:30頃にPARK STAGEに着くと、すでに見慣れたスタッフの面々が機材の調整をしています。PCとシンセサイザーを全面的に導入した「メカットモンチー」体制でまわった「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」(以下「秘密基地ツアー」)同様、ステージ上には、向かい合うように2台のシンセサイザーが設置されています。

 そして、しばらくするとチャットモンチーの2人もステージへ。橋本さんは今年の夏フェスグッズの「はっとしてハット」のブルーを着用。ちなみに秘密基地ツアーのファイナル六本木公演のアンコールでは、福岡さんがブルー、橋本さんがオレンジを着用し、「夏フェス用のグッズです」と紹介していました。

 さて、サウンドチェックでは、各楽器の音をチャットモンチー自らも加わり調整していき、秘密基地ツアーで1曲目に披露された「レディナビゲーション」を断片的に演奏しながら、最終確認をおこなっていきます。

 メカットモンチー体制での「レディナビゲーション」は、アルバム『YOU MORE』収録の音源とは音作りが大幅に異なり、打ち込みのドラムトラックの上に、チャットモンチーの2人がシンセサイザーを重ねています。シンセの音色もフワァーっとしたシンセサイザー然とした柔らかい音が選択されています。主に橋本さんが旋律的なパート、福岡さんが伴奏的なコード弾きを担当しているようです。

 この日のサウンドチェックでは、まずドラムトラックを流し始め、それに合わせて2人が何気ない感じでシンセを弾いていくのですが、程よくラフで、グルーヴ感もあり、2人のミュージシャンとしてのスキルの高さが垣間見えます。

 舞台監督のハギさんが「レディナビやります」と指示を出して、今度は橋本さんのボーカルも入って、1回目のサビ終わりぐらいまでを演奏。あくまでサウンドチェックなので、歌っていないフレーズもところどころありましたが、ほぼツアーで演奏されていたのと同じアレンジです。

 最後にマイクチェック。福岡さんはマイクチェックっぽく「ハー、ハー、ハー、へェ〜エ。この曲(レディナビゲーション)やらないから、安心してね!」、橋本さんは「あー、あー、あー、おはよう! おはよう!! 10:30からだよ。」と言って、マイクチェックも終了。2人がステージ奥へ戻ります。

 10:30が近づくと、前説のためにROCKIN’ON JAPAN編集長の小栁大輔さんがステージへ。今年は見やすさを考慮しながら各ステージの規模を拡大したこと、地震が起きた場合の注意事項などを説明した後に「2年ぶりにROCK IN JAPANに帰ってきてくれました! 毎回、違う試みで、その日だけのマジカルな時間を作ってくれる2人です。チャットモンチー!」という呼び込みから、入場用のSEが流れます。

 入場用SEは、橋本さんが作成したという秘密基地ツアーでも使用されたオリジナルのSEです。そして、いよいよチャットモンチーがステージへ。前述した通りステージ上には向かい合うように2台のシンセサイザーが設置されていて、オーディエンス側から見て、右側のシンセサイザーに橋本さん、左側に福岡さんが座ります。

 1曲目は「恋の煙」。この曲もアルバム『耳鳴り』収録の音源とは耳障りがだいぶ異なり、元々は鋭く歪んだギターが弾くイントロは、シンセサイザーに置き換えられています。しかし、イントロからしばらくすると手拍子が起こり、オーディエンスの反応は悪くありません。

 「恋の煙」の後には、橋本さんが「皆さん、おはようございます、チャットモンチーです!」、福岡さんが「いっぱい集まってくれてありがとう! チャットモンチーは変身ばっかりしてきましたけど、まずはメカットモンチーから始めたいと思います。」と挨拶。2人が喋っている間から、SEが流れ始め、そのまま自然な流れで2曲目の「変身」へ。

 メカットモンチー体制では、アルバム『変身』収録のオリジナルバージョンではなく、group_inouによるGLIDER MIXをもとにしたアレンジで演奏しています。この曲では、橋本さんはエレキギター(黒のシンライン)を担当。

 「変身」が終わると、ほとんど切れ目なく打ち込みのリズムが流れ始め、3曲目「M4EVER」へ。この曲が秘密基地ツアーで演奏された際には、このリズムトラックをバックに、メンバーとオーディエンスが、コール・アンド・レスポンスをしてから曲に入っていましたが、なんとこの日はラジオ体操!

橋本「みんな、朝やけど起きてますか?」
(オーディエンスから「イェー!」の声)
福岡「寝たまま、立ってたら凄いけどな(笑)」
橋本「確かに(笑) ちょっとだけラジオ体操する?」
(オーディエンスからは、また「イェー!」の声)
橋本「よかった、じゃあ真似して。」
(チャットモンチーの2人が、無言でラジオ体操第一の「体を横に曲げる運動」を左右に何回か繰り返し、オーディエンスもそれを真似する)
福岡「無言かよ(笑) ラジオ体操の先生の気持ち分かりました。めっちゃ気持ちいい!」
橋本「めっちゃ綺麗やで! これでみんな起きたと思います、ありがとう。」
福岡「今からやる曲は、オケをパソコン君に任せて、2人でラップやります!」

 この流れで、3曲目「M4EVER」へ。福岡さんも説明していましたが、この曲はチャットモンチーのアルバムなどには収録されておらず、スチャダラパーのアルバム『1212』と『6ピース バリューパック』のみに収録。橋本さんがお母さん役で、スチャダラパーのメンバーが息子たちという設定の曲ですが、メカットモンチーでは福岡さんがスチャダラパーのパートのラップを担当しています。

 前述の通り、リズムトラックをパソコンで流しつつ、2人で交互にラップしていくのですが、ラップを担当しない間のメンバーは、コルグ製の小さなシンセ(microKORGらしきもの)を手に持って、ベースラインを弾きます。2人で、シンセとマイクを交換しながらの演奏です。

 「M4EVER」後にはMC。小さめの音ですが、GRASS STAGEで演奏中のWANIMAが聞こえてきます。

福岡「いいんですか、(同時間に演奏している)WANIMA行かなくて?」
(オーディエンスから笑い)
福岡「私はめっちゃ見たいですけどね。あんまり聞こえへんな。」
橋本「遠いからな。」
福岡「そうやな。ちょっとだけチャット見てから行こうと思っても、無理ある距離ですよね。(チャットモンチーを見る)決断してくれてありがとう!」
(オーディエンスから拍手)
橋本「あ、(裏でやってるバンドに)夜の本気ダンスもおったな。」
福岡「夜の本気ダンスのギターの人が、チャットを好きらしいって四星球の康雄から聞いたんですけど(笑) でも、えっちゃん夜の本気ダンスってバンド名が覚えられんくて、踊る……なんとかの人って(笑)」

 4曲目は「コンビニエンスハネムーン」。福岡さんがアコースティック・ギター、橋本さんがシェイカー、タンバリン、ハーモニカを担当するアコースティックなアレンジ。ここまでの4曲だけでも、2人の音楽性の幅広さ、引き出しの多さが感じられるセットリストとなっています。

 橋本さんの「じゃあ、徳島のことを歌った曲やります。」という紹介から、5曲目に披露されたのは「majority blues」。橋本さんはエレキギター、福岡さんはドラムを担当し、ベースとキーボードは打ち込んだものを同期しているようです。「majority blues」後にもMC。

福岡「ROCK IN JAPANにいつも呼んでいただいて、ここのステージは初めてなんですけど、見た目がいいですね。こっちから見た時の。木が多くて、森感あるし、ええなぁ。チャットモンチーからは特に宣伝とかは無いんですけど(笑)、4月に新曲を出してて、その曲のPVがめっちゃ面白いという話だけさせていただきます。えっちゃんが大好きなお笑い芸人さんに出ていただいてるんですけど、曲が全く頭に入ってこないと有名なPVになってしまいました(笑)」
橋本「うん。おすすめだよ。」

 6曲目は「Magical Fiction」。福岡さんの説明のとおり、PVにはテツandトモのお二人が出演し、踊りまくっています。この曲では、橋本さんがシンセサイザー、福岡さんがドラムを担当。ベースなどは打ち込みを使用。

 7曲目は「風吹けば恋」。2人の担当楽器は、橋本さんがエレキギター、福岡さんがドラムで、ベースなどは打ち込み。打ち込みを使用してはいるものの、メカットモンチー要素は薄く、音源に近いパワフルなアレンジです。チャットモンチーらしい尖った部分もあり、『変身』期の2人体制を思い起こさせます。こういった大規模のフェスということもあり、チャットモンチーをあまり見たこともない方もいるでしょうし、やはり一般的にチャットの代表曲と言っていいこの曲は、大いに盛り上がりました。

 ラスト8曲目は、福岡さんの「やっぱ最後はこの曲だよね。」という言葉から「シャングリラ」。橋本さんはギターを黒のシンラインから、サンバーストのテレキャスターに持ち替え、福岡さんはこの日初めてベースを担当。ドラムは打ち込み。基本的には音源に近いアレンジですが、打ち込みによる電子音が足されていて、マッシヴ感とメカット感の同居した音に仕上がっています。

 「風吹けば恋」に続き、知っている人が多いであろう「シャングリラ」。イントロ部分からオーディエンから手拍子がおこり、きっちりと満足感を残し、ライブは終了となりました。わずか8曲、時間にして40分ほどの中に、ここまで変幻自在に音色を詰め込みながら、すべてがチャットモンチーらしいグルーヴにまとまっていて、秘密基地ツアーを凝縮したような素晴らしいライブでした。

 1、2曲目でのメカットモンチー顔見せ。3、4曲目でのチャットのパブリックイメージには無いラップとアコースティックの提示。5、6曲目での現2人体制でのバンドサウンド。7、8曲目での代表曲の再構築、と本当に無駄がなく、情報量の多いライブだと思います。わずか40分足らずで、手際よく次々と新しいチャットモンチーを見せていく展開に、チャットモンチーのライブバンドとしての強さと、さらなる成熟を感じますね。


ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 (国営ひたち海浜公園)
2017年8月6日
セットリスト

01. 恋の煙
02. 変身 (GLIDER MIX)
03. M4EVER
04. コンビニエンスハネムーン
05. majority blues
06. Magical Fiction
07. 風吹けば恋
08. シャングリラ




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チャットモンチー 2017年6月29日 帯広MEGA STONE

チャットモンチー
2017年6月29日
帯広 MEGA STONE (メガストーン)
「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」

 本来は、4月28日に開催予定だった今ツアーの帯広公演。橋本絵莉子さんの体調不良により延期となっていましたが、2ヶ月後の6月29日に実施の運びとなりました。まずは、橋本さんの体調と声が無事に回復したようで、本当に良かった。以下、ライブレポートです。


 定刻を数分過ぎたところで客電が落ち、SEが流れ始める。電子音が飛び交う中を、ベースが休符を含んだフレーズでリズムを刻み、どことなくジャングルの中を連想させるようなSE。最後には、某PCの起動音がサンプリングされている。

 オーディエンスからの歓声と手拍子の中、ステージ上にチャットモンチーの2人が登場。ギターでもベースでもドラムでもなく、2人とも向かい合うように設置されたローランド製のシンセサイザー(色が白なのでJUNO-DS61のWhiteだろうか)の前へ着席。オーディエンス側から見て、左側に福岡さん、右側に橋本さん。

 1曲目は「レディナビゲーション」。打ち込み特有の均一な音質のドラムから音楽がスタートする。2人もそれぞれシンセサイザーで、旋律的なフレーズと、伴奏的なコードを弾き始める。今までのチャットモンチーの音楽から比べると、異質と言える柔らかなシンセサイザー特有の音質だ。間奏では、橋本さんが思わず満面の笑顔で「ありがとう!」と言う場面もあった。

橋本「こんばんは、チャットモンチーです。約2ヶ月お待たせしました。来てくれてありがとう! この前の東京でも喉やっちゃったんですけど、治ってますんで安心してください!」
福岡「めっちゃあったかい。2ヶ月分の笑顔が見えます。今日はそんな皆さんの笑顔にも関わらず、1曲目からポカーンとさせてしまいましたけど(笑)、今回はメカットモンチーという体制で今までの曲をリアレンジしてやっていきますんで、ついてきてください!」

 2曲目「隣の女」、3曲目「恋の煙」でも、2人ともシンセサイザーを弾き続け、オリジナルバージョンから大胆にアレンジされた演奏を披露していく。「恋の煙」が終わると、打ち込みされたトロピカルなリズムパターンのドラムが流れ始め、そのリズムをバックに福岡さんが話し始める。

福岡「今から、いつもは今日誕生日の人?って聞くんですけど…今日誕生日の人? おらん? あ、おった! おめでとう! 2ヶ月前の公演のとき、誕生日だったっていう人? おらん!? その時、誕生日だったって人がいたら、おもろいかなと思ったんですけど。じゃあ、もう今日はみんな誕生日! 私も4月に1個、年とったんですよ。私、ウォーキングデッドがすごい好きなんですけど、その時は盛岡でウォーキングデッドのテーマ曲で誕生日を祝われるっていう。あとで調べてみてください、めっちゃ暗い曲なんで(笑) 今日は明るく皆さんをお祝いしたいと思います! 今日、誕生日の人は最もめでたい、めでたニストなので、サビのとこでその人に向かって拍手をしてください。」

 演奏されたのは「バースデーケーキの上を歩いて帰った」。アルバム「YOU MORE」に収録されている音源では、イントロはギターとベースから始まるが、今回は2台のシンセサイザーに置き換えられている。2人がシンセサイザーでイントロを弾き始めるのだが、設定が切り替わってしまっていたのか、どちらかのシンセの音程がオクターブ高く、明らかにここまでのツアーの演奏とは違う音。そのまま進めようとするが、やはり数小節を弾いてから、橋本さんがメロディーっぽく「もう1回やっていい?」と言って、リスタート。オーディエンスは大歓声。打ち込みのリズムが流れ続けているので、ライブの流れが途切れることはなく、むしろここからシフトが一段上がったような印象だった。

 橋本さんがシンセで電話の呼び出し音を鳴らし、福岡さんがそれを取る、という流れから、曲フリ用のMCが始まる。

福岡「もしもーし、イタ電かな? ちゃんとナンバーディスプレイに番号見せてください! 非通知はあきませんよ。」
橋本「…もしもし。」
福岡「あ、えっちゃんか。なんで携帯じゃなくて、家電(いえでん)にかけてくるんよ!?」
橋本「…家電の方が好きだから!」
福岡「ちゃんと理由あるんやな(笑)」
橋本「もしもし、今なにしてる?」
福岡「帯広で、300人ぐらいと豚丼食ってるよ。」
橋本「私は今、幸福駅ってところにいるんやけど。」
福岡「なんで、そんなとこにおるん?」
橋本「…幸福に、なれるから。そういうスポットだって聞いたから。すごいスポットなの。記念撮影すると幸福になれるんだって。」
福岡「どうだった? 幸福になった?」
橋本「………うん。」
福岡「めっちゃタメあったけど、ほんまかな(笑)?」
橋本「幸福になってる。もう写真撮ったから、あっこちゃんのとこ、行っていいかな?」
福岡「いいけど、えっちゃん豚丼食べれる?」
橋本「あの…ご飯だけでいいから。下のタレのついたご飯だけでいい。」
福岡「じゃあ食べにきい。」
橋本「じゃあ、あれで行くわ。広尾線で行くわ。」
(シンセから電車が走る音を流し、橋本さんが福岡さんの隣に移動)
橋本「広尾線ってもう無いんよ。」
福岡「えっちゃん、よく知ってるなぁ、帯広のこと。」
橋本「うん、20分前ぐらいに調べた。幸福駅、行ったことある人?」
(オーディエンスから、そこそこ手が上がる)
橋本「広尾線、乗ったことある人?」
(少ないが、手が上がる)
福岡「けっこう少ないんやね。」
橋本「1987年に廃止になったらしいですね。87年って、うちら4才やからな。」
福岡「えっちゃん、教科書みたいやな(笑)」

橋本「じゃあ、あっこちゃんのとこに来たっていうことで、今からやる曲は、徳島マラソンっていう地元徳島のマラソンがあって、それのテーマソングです。この曲を作った年に、あっこちゃんマラソンを完走しました!」
福岡「めっちゃ遅いけど、頑張って完走しました。絶対みんな完走できるから、ゆっくりだったら。あの「パーーンッ!」って鳴ったら、テンション高くなっちゃって、普段の倍ぐらいの速さで走っちゃう人が多いんよ。」
橋本「おるなぁ…私やわ。」
福岡「そういう人たちが20キロぐらいで小鹿みたいになってて、そういう人たちを尻目に、めっちゃ遅い私が抜いていくっていう(笑) 徳島マラソンをきっかけにマラソンを始めて、徳島マラソンのテーマソングを勝手に書いて、送りつけて、採用されたんです。」
橋本「地元の徳島だったら何でもできるんですよ。」
福岡「スーパーで私たちの声、流れてますからね。”今日はえっちゃん、ゾロ目市やなぁ””火曜日はポイント10倍やなぁ”とか(笑)」
橋本「そんなバンドマンいませんよ(笑) 地元でむちゃくちゃやるっていう。」
福岡「地元でフェスやった時にね、そのスーパーで宣伝してくれるって言ってくれて、スーパーの人は”期間中、店内でチャットモンチーの曲を流しましょうか?”って言ってくれたのに、私たちは”せっかくだから肉コーナーとかで叫んでるやつやりたい”って言って、今でも流れてるんで良かったら聞きに来てください!」
橋本「徳島のキョーエイってスーパーなんですけど。」
福岡「話、長くなってもうたな。」
橋本「じゃあ、今から”とまらん”って曲をやるんですが、あっこちゃんが鍵盤弾きながら、バスドラ踏みます。それで私がドラムの上物をやるっていうスタイルです。」
福岡「やってて楽しいって理由で、このスタイルになってます(笑) 覗いてみてくださいね、後ろの人。」
(最前列から3列目ぐらいまでのオーディエンスが、後ろの人が見えやすいようにかがむ)
福岡「バスドラに合わせて手拍子をしてもらえると、ものすごい助かります!」

 上記の長めのMCの後に演奏された5曲目「とまらん」。1曲目から4曲目までは、ドラムは打ち込んだものを流しながら、それに同期するように2人がシンセサイザーを演奏していた。また、音色も、シンセサイザー然とした電子音だと一聴してわかるものだったが、「とまらん」では前述のとおりドラムは生演奏、福岡さんが弾く音色もアコーディオンのような味わいのある音を選択している。そのため、オーディエンスの手拍子も相まって、4曲目までと比べると、かなり耳障りの異なる演奏となっていた。演奏後には、また長めのMC。

福岡「ありがとう、止まらんかった。」
橋本「良かった。」
福岡「豚丼食べたし、えっちゃん家、行こうかな。」
橋本「どうやって行く?」
福岡「北海道やけん、これで行こう。」
(シンセから馬の走る音を流し、今度は橋本さんが元々いた位置に2人が移動)
福岡「帯広、空港着いて、この市内までめっちゃまっすぐでしたね。ビックリした! でも、すごいひとつ気になったのが、白線の上にある矢印、途中から白線じゃないとこ指してたんですけど。なんでなん、あれ?」
橋本「あの、雪で下が見えんくなった時に…」
福岡「うん、そうやと思ってたんやけど、最初白線の上を指してて、途中から段になってる方を指してて、気づいた人おる? 今度、帯広空港から市内来るとき、見てみてくださいね。」
橋本「そういう間違い探しするのが、あっこちゃんらしい。あっこちゃん、間違い探すの、すごい上手なんだよ! 凄いんだよ! CD作って、歌詞の間違いとか、いろいろチェックせなあかんけど、めっちゃ見つけるの、あっこちゃん! ほんと、あっこちゃんおらんかったら、めっちゃ間違ってると思う。私も見てるんやけどね。」
福岡「えっちゃん、気持ちは見てるけどな、たぶん目は見てない(笑)」

 5曲目「いたちごっこ」、6曲目「染まるよ」の2曲は、打ち込みは使わず、アコースティックなアレンジで披露。「いたちごっこ」では、橋本さんがアコースティックギター、福岡さんがベース、「染まるよ」では橋本さんが変わらずアコースティックギター、福岡さんはステージ左側に戻りシンセサイザーを担当。「染まるよ」でのシンセサイザーの音色は、エレピや電子オルガンに近い音色で、アコースティックな雰囲気を増している。

 7曲目は「変身」。橋本さんはシンラインを持ち、福岡さんはドラムセットへ。福岡さんが「それでは、ここからはメカットモンチーの盛り上がるバージョン、よろしくお願いします。」と言って演奏がスタート。オーディエンスもおおいに盛り上がる。ここから、9曲目「消えない星」、10曲目「majority blues」と、橋本さんがギター、福岡さんがドラム、それにプラスして必要に応じた打ち込み音源という体制が続く。11曲目には、橋本さんが今回のツアーから導入されたと思われる青っぽいテレキャスターデラックスに持ち替え、Perfumeの「TOKYO GIRL」のカバーを演奏。

福岡「今のはねぇ、PerfumeのTOKYO GIRLっていう曲をカバーしました。6月3日にPerfumeのフェスに出させてもらった時に、これカバーしたんですよ。Perfumeのフェスの次の日も仙台でやったんですよ、好評だったみたいだからっていって…でもすぐに飽きちゃって、また別の曲にしちゃって、飽き性やからね。でも、しばらく経ったから、北海道の人このフェス来てない人多いかなと思って、またやりました。」
橋本「もう私たちの飽き性は、皆さんに伝わってますよね。このツアーも3月から始まって、本来ならば今日はここにいなかったはずなんですけれども、いちゃってるわけですけれども、そしてみんなも来てくれたわけですが、もう4ヶ月、カバーをいろいろしてきて、わりとコロコロ変えてきたね。」
福岡「チャゲアスがめっちゃ好きで、ラジオでレギュラー番組やってるときに、ルーツをかけるコーナーがあったんですけど、チャゲアスだけは今はあかんって言われてしまって…」
橋本「時期が時期だけにな…」
福岡「それがたまってたんでしょうね。自分のライブだったらいいやろうってことで、チャゲアスの曲をやったり。それを急に思い立っちゃって、その場で練習してやるっていう暴挙に出たりとか。さっきの”とまらん”も、急にやったからね。」
橋本「急にやった! 急にやり始めたから、ああいうスタイルになったんですよ。急にやんないとできないからね。考えすぎたらできへんってこともあるやん。」
福岡「4月のツアーの時は、ちょっと説明した方がいいんちゃうかってことで、システムがどうなってるのかっていうのを、説明してたんですよ。それも途中で飽きちゃって、やめたんですよ(笑) でも、4月来る予定だったから、説明聞きたいですか?」
(オーディエンスから複数の「聞きたーい!」の声)
福岡「じゃあ、えっちゃんから…」
橋本「おぉ!…すんげえ、ぼーっとしてたわ。あのね、パソコンが今2台あるんですよ。主に私たちが出してる以外の音は、あっこちゃんがパソコンから出してます。パソコンって、マウスなり、なんなりで、手でやるじゃない? でも、両手ふさがってるでしょ、ピアノ弾いたり、ドラム叩いたり、だから足で、曲ごとに踏みかえて、もうそれは…もうそれは、ベース弾いてるとき培ってきた、エフェクターの切り替えの足の技術によって、なされてます。」
福岡「聴いてもらったらわかると思うんですけど、パソコン使ってるわりには、アナログな音してるでしょ? そうしたいなあって思いが、音にもなってるんですけど。えっちゃんがね、楽器の音の名前を言わずに、”あのネズミみたいな音”とか、言うんですよ。ネズミの音ってどれやろって思うけど、共通認識としてネズミの音は把握しとかなきゃいけないでしょ。ネズミの音はいいよ、とりあえず、今度は”大ネズミの音”とか言い出すんですよ(笑)」
橋本「言ってたね。あっこちゃん”ああ、大ネズミの音な”って。(わかってくれて)優しいなぁと思ってました。」

 12曲目は「Magical Fiction」。この曲から、橋本さんがギターから再びシンセサイザーへ。13曲目「こころとあたま」と「湯気」は、今ツアーではメドレーのようにシームレスに演奏されており、「こころとあたま」の1回目のサビが終わると、橋本さんがシンセサイザーからギターへ楽器を替え、「湯気」のイントロを弾き始める。「湯気」の終盤では、福岡さんのモニター用のヘッドホンが途中で脱落してしまい、スタッフが慌てて元の位置に戻し来るが、一時的にドラムが止まりかけてギターのフィードバックのみになる。ここでも演奏は止めずに、むしろトラブルを楽しむように演奏を続け、オーディエンスからは自然と手拍子が起き完走。

 聴き慣れたバスドラのリズムが流れ始め、福岡さんが「最後はやっぱ、この曲だよね! 最後はベース弾きます!」と言って、15曲目「シャングリラ」がスタート。しかし、ベースが入ってくるタイミングで弾き始めるも、ベースの音が出ない。また、どこかのタイミングで指から出血してしまったようで、何度も指を気にしていた。一旦、打ち込みのドラムを止め、機材をチェックする。この間、橋本さんがギターで「恋愛スピリッツ」のコードを弾いているようだった。福岡さんが「2ヶ月待たせた上に、最後の曲もお待たせしました!」と言って、今度は無事にベースの音も出て、シャングリラを演奏。何度かの機材トラブルがあったが、演奏は全体として疾走感があり、非常に熱く、またオーディエンスの雰囲気もあたたかく、2ヶ月分の想いが形になったようなライブだった。

 アンコールでは、日本の祭りを思わせるような、アクセントが前に置かれたドラムのリズムが流れ、今回のツアー後半から発売されたロングTシャツに着替えたチャットモンチーの2人が再びステージへ。アンコール1曲目に演奏されたのは、スチャダラパーとのコラボ楽曲「M4EVER」。オーディエンスとコールアンドレスポンスをしてから、演奏を始める。元々の音源では、橋本さんと、スチャダラパーのANIさん、BOSEさんが交互にラップをしていくが、今ツアーではスチャダラパーのラップパートは福岡さんが担当している。ドラムは打ち込み、橋本さんがラップの時は、福岡さんは小型シンセを手に持ってベースラインを弾き、逆に福岡さんのラップパートでは、マイクとシンセを交換し、橋本さんがシンセを担当。使用されているシンセサイザーは、KORG製のアナログシンセサイザーあるいはアナログモデリングシンセサイザーのようだった。マイクとシンセを交換するとき、福岡さんと橋本さんの手とコードが絡まる、というかコードがシンセを持つ腕の中に入ってしまって2人が離れられなくなる、という場面もあったが、一度手を外して、うまく交換完了。このときの2人のアイコンタクトも、絆の深さを感じさせた。また、曲中には福岡さんがフロアに降りてラップをするサプライズもあった。今回のツアーで、メンバーがフロアに降りてきたのは帯広公演のみ。

 アンコール2曲目に「満月に吠えろ」を披露して、この日のライブは終了。ここまでは、自分自身の備忘録を兼ねて、客観的な事実の記述を心掛けてきましたが、最後にライブの感想を書かせていただきます。ライブ中に、メンバーが何回も「帯広の人はあったかいなぁ」「優しいなぁ」という場面がありましたが、それは遠征での参加だった僕も感じたことで、「とまらん」で後ろの人が見えやすいように前列の人が屈んだり、「湯気」で演奏が止まりかけたときに自然発生的に拍手が起こったりと、非常に雰囲気が良く、またメンバーもその空気に押されて、演奏が加速していったように感じました。何回か機材トラブルもあったライブでしたが、そのたびに流れが停滞するどころか、むしろシフトが上がっていくようで、バンドのテンションと、それを迎えるオーディエンスの期待と優しさがぴったり合った、素晴らしいライブでした。


チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017
2017年6月29日
帯広 MEGA STONE
セットリスト

01. レディナビゲーション
02. 隣の女
03. 恋の煙
04. バースデーケーキの上を歩いて帰った
05. とまらん
06. いたちごっこ
07. 染まるよ
08. 変身 (GLIDER MIX)
09. 消えない星
10. majority blues
11. TOKYO GIRL (Perfumeカバー)
12. Magical Fiction
13. こころとあたま~湯気
14. 風吹けば恋
15. シャングリラ
アンコール
EN1. M4EVER
EN2. 満月に吠えろ




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チャットモンチー 2017年4月16日 盛岡Club Change WAVE

チャットモンチー
2017年4月16日
盛岡Club Change WAVE
「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」

 4月16日はメンバーの福岡晃子さんの誕生日のため、入場時にクラッカーが配られ、ライブ中に橋本さんの合図でクラッカーを鳴らしてください、との説明があった。

 定刻になると客電が落ち、今ツアー共通のSEが流れ始める。前日の青森公演でも言及されていたが、このSEは橋本さんが作成したとのこと。SEが終盤にさしかかると、チャットモンチーの2人がステージへ。

 今回のツアーでは、ステージ中央に2台のシンセサイザーが向かい合うように設置されている。オーディエンス側から見て、右側のシンセに橋本さん、左側のシンセに福岡さんが座る。シンセサイザー以外のアンプやドラムなども、2人を囲むように所狭しとセッティングされている。

 打ち込みによる均質なドラムのビートが流れ始め、2人がシンセサイザーでコードと旋律を弾いていく。1曲目は「レディナビゲーション」。シンセのフレーズは、確かにレディナビゲーションのイントロのギターをなぞってはいるが、音質が全く異なるため、別の曲のようだ。全体のリズム感、サウンドも、ギターを前面に押し出したロックではなく、テクノに近い。それでいて、2人の弾くシンセサイザーからは、生演奏によるグルーヴも感じられ、人力テクノといった感じのアレンジだ。

 1曲目が終わると、橋本さんは「皆さんこんばんは、チャットモンチーです! 盛岡に来たのは2、3年ぶりです。前はサポートメンバーを入れて6人で来たんですけど、今日はパソコンと2人で来ました!」、福岡さんは「パソコンと2人で、メカットモンチーです。今日はこんな感じで、見たことない感じになると思いますけど、ここまで情報がないのにチケットを買ってくれた人は、のれるはず!」と挨拶。

 2曲目「隣の女」、3曲目「恋の煙」と、2人のシンセサイザーと打ち込みによるメカットモンチー体制でのライブが続く。いずれも、今までのチャットモンチーのようなギター・オリエンテッドなサウンドとアレンジではなく、シンセの電子音とテクノ的なビートが目立つ演奏。

 「恋の煙」の後には、ここまでの3曲とは少し変わった、軽やかなリズムが流れ始める。そのリズムをバックに、2人が話を始める。

福岡「皆さん、すごいですね! 3曲でだいぶ雰囲気つかんできてくれて、ありがとうございます。今から、誕生日の曲をやるんですけど、今日誕生日の人いますか?」
(オーディエンスから手が上がらず)
福岡「えっ? もしかして私だけ!?」(4月16日は福岡さんの誕生日)
(オーディエンスから拍手と大歓声)
橋本「ほんとにおらん?」
(オーディエンスの1人が手を上げる)
福岡「おった、おった! 一緒やん! 4月16日生まれは大体友達(笑) じゃあ、今日は私の誕生日なんで特別に、ここ1週間以内が誕生日って人?」
(オーディエンスの数人から手が上がる)
福岡「じゃあ、サビのハッピーなバースデーってところで、ここ1週間が誕生日の人たちに拍手してあげてください! 私は自分で歌うんですけどね(笑)」
橋本「(オーディエンスに向かって)じゃあ、みんなあれ最後ね。」

 4曲目は「バースデーケーキの上を歩いて帰った」。ドラムの打ち込みに2人のシンセサイザーという編成は変わらないが、ここまでの3曲に比べると、シンセの音色がアコーディオンのような温かみのあるもので、全体としてテクノ色は薄く、雰囲気がだいぶ異なる演奏。

 曲の最後の部分になると、橋本さんがオーディエンスに向かって「みんな出してください。行くよ。ワン、ツー、スリー、フォー!」と声をかけ、「フォー!」のタイミングで一斉にクラッカーを鳴らす。

橋本「おめでとう、あっこちゃん!」
(オーディエンスからも「おめでとう!」の声)
橋本「みんな、すごい良かった!」
福岡「火薬の匂いもすごい(笑) ありがとう! えっちゃんが“最後ね”って言ったとき、なに!?って思った(笑) 前にもやられたことがあって、全員が私の顔になるっていう、こわいことやられたので(笑)」
橋本「それも考えたんや。京都でそういうサプライズやって、みんなあっこちゃんの顔になったんですけど、違う人の顔でその二の舞にしようかなと思ったんよ。今あっこちゃん、めっちゃ好きやから『じゃりン子チエ』の顔とか、考えたけど、歌詞が“クラッカーの音”やから、クラッカーにしたよ。」
福岡「ありがとう、やさしい!」
(オーディエンスから大きな拍手)
福岡「どうしよ、ここで抱負とか言うべきなんですかね(笑) えっと、びっくりしすぎて言葉が出てこないんですけど、今年も健康に、30代はほとんど厄年と言われている女性ですけれでも、そんなことを吹き飛ばすぐらい、いい曲をやっていきたいと思います! どうやって、ライブに戻ったらいいかわからない(笑)」
橋本「それとなく、戻るな。」
(シンセサイザーで電話の呼び出し音を鳴らす)
福岡「急な電話(笑) ガチャ! もしもーし?」
橋本「もしもし、あっこちゃん? 今なにしてたの?」
福岡「今ねぇ、盛岡でねぇ、300人に発砲されてました。すごかったよ! ハッピーな発砲だったよ(笑)」
橋本「ハッピーな発砲っていいなぁ。」
福岡「そういう発泡酒、できるかも(笑) えっちゃんは何してるの?」
橋本「岩山でねぇ、動物見てる。」
福岡「岩山ってところに動物園があるの?」
橋本「うん。」
福岡「で、なんの動物見てるの?」
橋本「最近、新しく入ったっていうカピバラ見てる。」
福岡「そうなんや…もしかして暇なの?笑」
橋本「うん、暇してるから、あっこちゃんのとこ行っていい?」
福岡「いいよ、発砲されるけど気をつけて(笑)」
橋本 (シンセサイザーで、スーパーカー的な車のエンジン音を鳴らし、福岡さんの隣へ移動)
福岡「速いにもほどがある(笑) F1やん(笑)」
橋本「めっちゃ速かったやろ。もうちょっとで通り過ぎるところやった。」
福岡「(オーディエンスを橋本さんに紹介しながら) あ、このみなさんが発砲してくれた皆さんです。」
橋本「ありがとうございます。」
福岡「えっちゃん、私の部屋どう? ちょっと発砲の残骸がいっぱいあるけど(笑)」
(ステージ上にも、クラッカーから放出された紙テープなどが随所に残っている)
橋本「色どりがそえられて、めっちゃハッピーな感じになってるやん。」
福岡「しかも、ハッピーな発砲っていう新しいラップも生み出せたところで、ちょっとラップやろか?」
橋本「そうしようか!」

 5曲目は「ぜんぶカン」。この曲では、橋本さんがシンセサイザー、福岡さんがドラムを担当。ドラムが打ち込みから生音に切り替わっただけで、かなり肉体的なサウンドの感じる。橋本さんのシンセは、アルペジエーターのように一音を押すと、フレーズになって音が流れる設定になっているようだ。「ぜんぶカン」演奏後に、橋本さんが福岡さんの隣から、元々の位置に戻り、また長めのMC。

橋本「あー、楽しかった。」
福岡「帰るのも、速いね(笑)」
橋本「あー、今度はあっこちゃん来んかなぁ、私のとこに。今日、誕生にあっこちゃん…」
(福岡さんがシンセサイザーで、パトカーのサイレン音を鳴らす)
福岡「あの300人は、連行されてしまいました。」
(オーディエンス爆笑)
橋本「マジで!? 危険やな、確かに。」
福岡「じゃあ、えっちゃん家、遊びに行くわ。」
(福岡さんがシンセサイザーで、電車の走る音を鳴らし、橋本さんの隣へ移動)
橋本「(オーディエンスに向かって) 岩山公園に南京錠があるって、本当ですか?」
(オーディエンスの1人が「本当」と答える)
橋本「なんか、恋愛成就みたいな…シド・アンド・ナンシーみたいな…」
(オーディエンスから笑い)
福岡「そういうことかな?」
橋本「っていう余談な。」
福岡「ちなみにご利益あるんですか?」
(オーディエンスの1人が「知らん」と答える)
福岡「知らん(笑)」
橋本「ご利益なさそうな感じですね。」
福岡「徳島にもそういうのあるよな、一緒に登ったら絶対に別れる眉山!笑」
橋本「なんなんだろうな、そういうの多いよな!笑」
福岡「そのエピソードいるんかいなって思う。岩山公園はどうなんだろうな?」
橋本「たぶん、他の公園がライバルやから、触れ回してるんよ。」
福岡「えっちゃんの観点(笑) えっちゃん家、意外と和室なんやね。フォークソングでもやる?」
橋本「やろうか、四畳半の。」

 6曲目は「余談」。MCでの発言どおり、ここまでのメカ体制とは打って変わって、アコースティックなアレンジ。橋本さんはアコースティック・ギター、福岡さんはベースを担当し、打ち込みは使用していないようだ。電子音を多用したここまでのライブとのコントラストで、非常にオーガニックなサウンドに感じる。

 7曲目は、福岡さんが橋本さんの隣から、元々のポジションに戻り「CAT WALK」。担当楽器は、橋本さんは引き続きアコースティック・ギター、福岡さんはシンセサイザー。この曲では、心臓の鼓動のような音のビートが打ち込みで同期されている。

 8曲目は、橋本さんがギターをシンラインに持ち替え、「ほとんどチョコレート」。福岡さんは引き続き、シンセサイザーを担当し、リズム楽器などは打ち込み。ほぼ、音源のどおりのアレンジで、ライブ序盤の電子音を前面に押し出したサウンド・プロダクションから、徐々に耳ざわりが変わってきている。「ほとんどチョコレート」の後にはMC。

福岡「いいとこですよね、盛岡。私、おおはた雄一さんと一緒に、くもゆきってバンドやってるんですけど、おおはたさんもめっちゃ盛岡好きなんよ。常宿があるって言ってた(笑)」
橋本「なに、常宿(じょうやど)って?」
福岡「よく泊まる宿。だから、おかえりなさいって言われるって。それぐらい、盛岡好きなんやって。」
橋本「あやしい(笑) おおはたさん、あやしい!」
福岡「そんな、なんもないっす(笑) ほんまに盛岡好きなんやって!」
橋本「へぇ〜、ええことやなぁ。」

福岡「ちょっとぶりなのに、こんな様変わりしたチャットモンチーを見に来てくれて、ありがとうございます。パソコンで音を作って、足元で操作しつつ、やっているんですが、ここからは生音も混じえて、やっていきたいと思いますんで、ノッテくれよ!笑」

 9曲目は、橋本さんがエレキ・ギター、福岡さんは足でバスドラのペダルを踏みながらシンセサイザーを担当。アルバム『変身』に収録のバージョンではなく、group_inouによるGLIDER MIXに沿った演奏。福岡さんの言葉どおり、ギターの音は鋭く、バスドラの音は下から響き、ライブ序盤のメカットモンチーなアレンジと比較すると、格段にソリッドな音像になっている。

 10曲目は「8cmのピンヒール」。橋本さんは引き続きエレキギター、福岡さんはドラムを担当。アルバム『変身』時代を彷彿とさせる、アンサンブルが極限まで絞り込まれた、ソリッドかつパワフルなアンサンブルが展開。

 11曲目「消えない星」、12曲目「majority blues」、13曲目「Magical Fiction」と、現状の2人体制になってからレコーディングされた楽曲が続く。いずれも、音源に忠実なアレンジで、グルーヴ感抜群のチャットモンチーらしい演奏が繰り広げられる。

 14曲目は「こころとあたま」と「湯気」を、メドレーのようにシームレスに繋いで披露。タイトな部分と、荒々しい部分が同居し、疾走感と躍動感の溢れる、これまでのチャットモンチーが得意とする演奏が展開。電子音主体の序盤から、肉体的でオルタナティヴ・ロック全開のアレンジまで、無理なく1本のライブのなかに詰め込めるセンスと幅は、本当に驚異的だと思う。

 本編ラストの15曲目は「満月に吠えろ」。橋本さんがエレキ・ギター、福岡さんがドラムを担当し、基本的には音源に近いアレンジだが、打ち込みによる電子音が足されており、アクセントになっている。曲中には橋本さんのダンスも披露され、本編が終了。

 アンコールでは、ここまでのツアーと同様、手品のBGMのような音楽が流れ始め、2人がステージへ。これまでのツアーでは、BGMに合わせてチャットモンチーの2人が手品の体で帽子からグッズを出し、オーディエンスに紹介していくが、この日が誕生日の福岡さんに向けて、ここでもサプライズ。

 手品のBGMが、途中から『ウォーキング・デッド』のテーマ曲に切り替わり、さらに「Happy Birthday to You」へ。オーディエンスからは自然と歌声が起こり、曲中にスタッフによってケーキが運ばれてくる。曲は終わると、いたるところから「おめでとう!」の声と大歓声。このあと、橋本さんから福岡さんへのプレゼント、スタッフによる記念撮影があり、改めて2人のMCへ。

福岡「ほんとはね、ここで手品のコーナーがあるんですけど、いきなり『ウォーキング・デッド』のテーマが流れてきたから、サプライズでみんながゾンビになるんじゃないかと思って、すごいドキドキした!笑」
橋本「そっか、お客さんからなんかやられると思って!笑」
福岡「そう、ウォ〜〜とか言って。ありがとうございます。私の為に、こんなに時間を割いていただいて。なんか、達成感がすごい、達成感っていうか満足感がすごい(笑) じゃあ、アンコールやりますか?」
オーディエンスから大きな拍手。
福岡「アンコールも申し訳ないことにね、私の好きな曲なんですよ。」
橋本「そうなの。申し訳なくないよ!」
福岡「ほんま? さらに申し訳ないことに、完成度がめっちゃ低いんですよ(笑) 昨日、青森で。完成度低いんですけど、新しいカバーやってもいいですかって聞いたら、みんながいいよって言ったから、やらしてもらったんですけど、1000点中2点の演奏でした。」
橋本「超低いやん!」
福岡「今日は12点を目指して頑張る! いいかな、それでも? いっか、誕生日やけん!」
オーディエンスから拍手と歓声。
福岡「いけるかなー?」
橋本「うん、行ける!」
福岡「ちなみにタイトル言っても、わかる人半分もいない気がするんですけど、チャゲアスやるんですよ。チャゲアス大好きで、ラジオのレギュラーやってた時に、かけたかったんですけど、規制がかかってかけれなかったんですよ(笑) だから、自分のライブでやるっていうね。えっちゃんにASKAやってもらって。だから、まだ完成度が低くて、私Chageまで行けてないんですよ。」
橋本「じゃあ、お互い目指そう! ChageとASKAを。」

 アンコール1曲目に演奏されたのは、CHAGE and ASKAの「モーニングムーン」。担当楽器は、橋本さんがボーカルとシェイカー、福岡さんがキーボード。

 キーボードの演奏は確かにテクニカルで、流れるようなフレーズと、リズムのキープも兼ねたパーカッシヴなフレーズが共存し、なかなか難易度が高そう。しかし、前日の青森公演での演奏も、本人が「2点」と評価するほどの完成度ではなく、キーボートと橋本さんの声が絡み合い、グルーブ感を持った良い演奏。この日は前日からさら演奏の精度が向上し、楽器数は少ないながらバンド感の増した演奏となっていた。

福岡「2点ではなかった気がする。」
橋本「2点より上がった!」
福岡「4点ぐらい行ってたかな?」
橋本「4点ぐらい行ってた!」
橋本・福岡「ありがとうございます!」
福岡「それでは皆さん、最後にこの曲で一緒に盛り上がってください!」

 福岡さんの上記の言葉に導かれ、チャットモンチーのファンにはお馴染みのバスドラのリズムが響き始める。アンコール2曲目、この日ラストに演奏されたのは「シャングリラ」。

 ドラムは打ち込み、福岡さんはベース、橋本さんはギターを担当。ドラム以外にも、打ち込みによる電子的なサウンドが足されているが、リズムと楽曲の構造はオリジナル通り。しかし、イントロ部分で従来には無かったギターのフレーズを弾いたりと、随所に隠し味のようにアレンジが施されている。サウンドやリズム構造に、大胆なアレンジを施してきたこの日のメカットモンチー体制でのライブの中では、ノリ方がわかるアレンジであったため、オーディエンスも非常に盛り上がりライブは終了。

 最後の「シャングリラ」は前述のとおり、リズム構造は共通しているアレンジだったため、オーディエンスも従来通りのノリ方をしていましたが、一部の楽曲は、解体・再構築していると言っても良いぐらい、大きなアレンジを加えられており、2人の音楽的な引き出しの多さを、改めて感じるライブでした。

 例えば、激しく歪んだソリッドなギターが主軸だった曲を、ソフトなシンセサイザーの音色で組み立て直し、全く別の曲のように響かせる場面も多々。このような大胆なアレンジには、メロディーを前景化させたり、あるいは既存のアレンジとは違ったグルーヴ感が溢れていたりと、楽曲の別の魅力を引き出す効果があります。少なくとも僕は、「この曲にはまだこんな魅力があったか」「この曲のリズムの気持ちよさは、ドラムと歌の関係性にあったか」など、多くの気づきがあるライブでしたね。

 リズム、メロディー、ハーモニー、そしてサウンド。音楽を形作る要素を、既存の楽曲のなかで変幻自在に操り、全く別の一面を見せるチャットモンチーの手腕は、本当に見事! 改めて、すごいバンドだと思います。


チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017
2017年4月16日
盛岡Club Change WAVE
セットリスト

01. レディナビゲーション
02. 隣の女
03. 恋の煙
04. バースデーケーキの上を歩いて帰った
05. ぜんぶカン
06. 余談
07. CAT WALK
08. ほとんどチョコレート
09. 変身 (GLIDER MIX)
10. 8cmのピンヒール
11. 消えない星
12. majority blues
13. Magical Fiction
14. こころとあたま~湯気
15. 満月に吠えろ
アンコール
EN1. モーニングムーン (チャゲ&飛鳥カバー)
EN2. シャングリラ




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チャットモンチー 2017年4月15日 青森Quarter

チャットモンチー
2017年4月15日
青森Quarter
「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」

 定刻になると客電が落ち、今ツアー共通のSEが流れる。ベースラインがリズムを刻むなか、様々な効果音が飛び交うこの曲。SEが終盤に差し掛かると、チャットモンチーの2人がステージへ。ステージ上には、2台のシンセサイザーが向かい合うように設置されており、オーディエンス側から見て右側に橋本さん、左側に福岡さんが座る。オーディエンスからは、盛大な拍手と歓声。

 モニター用のヘッドホンも装着し、1曲目は「レディナビゲーション」。打ち込み然とした均質な音のドラムの上に、2人がシンセサイザーでコードやベースラインを弾いていく。アルバム『YOU MORE』収録の音源とは、明らかに耳触りが異なるサウンドとアレンジで、オーディエンスからは戸惑いも感じられる。しかし、1曲が終わる頃には、みんな曲に合わせて緩やかに揺れていた。演奏が終わると、大きな拍手。

 橋本さんが「皆さん、こんばんはチャットモンチーです! 青森に来たのは…たぶん4年ぶり!…ぐらいです!」、福岡さんが「4年前も2人だったと思うんですけど、またこんなにも変わってしまいました(笑) でも、見捨てずに来てくれてありがとうございます。」と挨拶。

 2曲目「隣の女」、3曲目「恋の煙」も、音源とは異なるシンセサイザーの電子音感が目立つアレンジ。特に「恋の煙」は、イントロの歪んだギターがシンセサイザーに置き換えられ、サウンドの違いが際立っていた。打ち込みによるドラムのビートも、打ち込み感を強調するような均質なもの。

 3曲目「恋の煙」が終わると、打ち込みによるドラムが流れ始める。そのドラムをバックに、2人が話を始める。

福岡「いきなりですが、今日誕生日って人いますか?」
(オーディエンス数人から手が上がる)
福岡「おー、めっちゃおる! ちなみにアラウンド3日以内って人はいますか?」
(また、数人から手が上がる)
橋本「あっこちゃんもやん!」
福岡「そう、私も! 私と同じ誕生日の人おる? おらんか。今から「バースデーケーキの上を歩いて帰った」という曲をやるので、サビのところで誕生日の人に向かって、うわーって拍手してあげてください!」

 4曲目は「バースデーケーキの上を歩いて帰った」。この曲もドラムは打ち込み、2人がそれぞれシンセサイザーを弾くのだが、それまでの3曲に比べれと、ドラムのリズムが軽やかで、バンド感を感じさせるアレンジ。「バースデーケーキの上を歩いて帰った」の後にはMC。

橋本 (シンセサイザーで電話の呼び出し音を鳴らす)
福岡「ガチャ! もしもーし。」
橋本「もしもし、あっこちゃん?」
福岡「なんなん? 携帯じゃなくて、自宅の電話にしてきて。」
橋本「今なにしてる?」
福岡「今、青森でね、300人と一緒にホタテ食べてるわ。」
(オーディエンス爆笑)
橋本「マジで? 300個もホタテ?」
福岡「うん、余裕余裕。ホタテが売るほどあるけん、青森は! ほたてソフトクリームまである! えっちゃんは何してんの?」
橋本「今、ワ・ラッセにいるんだけど。食べ放題で、めっちゃチラシ寿司食べてるんやけど。食べ終わったんで、あっこちゃん家にいってもいいかな?」
福岡「いいよ、青森の私の別荘ね。ペンソンにね(笑)」
橋本「じゃあ、青い森鉄道に乗っていくわ。」
(シンセサイザーで電車が走る音を鳴らし、橋本さんが福岡さんの隣へ移動)
福岡「じゃあ、うちに来たからには、ラップやってってもらうから。」

 チャットモンチーでラップが入る曲といえば「ぜんぶカン」。この曲では、福岡さんがドラム、橋本さんがシンセサイザーを担当。橋本さんが弾くシンセサイザーは、一音を弾くと、その音からフレーズが続くように設定されているようだ。まず橋本さんがシンセサイザーを弾くが、弾く音を間違ったのか、不安定なフレーズが演奏される。

橋本「ちょっと待って!」
福岡「ヤバい(笑) なに今の不穏な音?」
橋本「ごめん、もう1回いきます!」

 あらためて5曲目「ぜんぶカン」がスタート。ベースの音も聞こえたので、ベースは打ち込んだものを再生させているようだ。ドラムが生演奏に切り替わったため、ここまでのメカットモンチー体制のアレンジに比べると、生バンド感が増している。「ぜんぶカン」の後には、またMC。

橋本 (福岡さん側から、元々いたステージ右側へ戻る)
福岡 (シンセサイザーで雨が降る音を鳴らす)
橋本「雨?」
福岡 (カミナリの音を鳴らす)
橋本「カミナリやん。」
福岡 (吹雪の音を鳴らす)
橋本「どこ? 急に荒れたん、天気が?」
福岡 (鳥のさえずりの音を出す)
橋本「晴れたん? 森? やっぱり青い森?」
福岡 (馬が走る音を出す)
橋本「馬? なんのヒントもなかったけど、来るんやな私の家に。」
福岡「馬に乗って行こうと思ったんやけど、馬の距離じゃなかったみたい、えっちゃん家。」
(シンセサイザーでヘリのプロペラ音を鳴らし、福岡さんが橋本さんの隣へ移動)
橋本「ヘリや。」
福岡「えっちゃん家は、白を基調としてるんやね。」
橋本「そうなの、でも床だけ黄色いの。たまごを意識してるの。目玉焼き。」
福岡「なるほどね(笑) いっつもここそうなんですけど、面白いこと言うたらいかんコーナーなんですよ。これからいい曲やろうとしてるのに。そういう歌か。」
橋本「そういう歌。」
福岡「余談という曲をやりたいと思います。」

 6曲目は「余談」。橋本さんはアコースティック・ギター、福岡さんはベースを担当。この曲は打ち込み音源も使用していないようで、ここまでのライブとは一変して、アコースティックでしっとりと聴かせるアレンジ。

 福岡さんが、橋本さんの隣から元の位置に戻り、7曲目は「CAT WALK」。橋本さんは引き続きアコースティック・ギター、福岡さんはシンセサイザーを担当。心臓の鼓動を思わせるような深くエコーのかかったバスドラのような音も鳴っていた。この音は、打ち込みのようだ。橋本さんは弾き語りのようにゆったりしたコード・ストローク、福岡さんはシンセサイザーでピアノの音色を使い、隙間を埋めるように音を紡いでいく。

 8曲目は「ほとんどチョコレート」。橋本さんはギターをアコースティックからエレキに持ち替え、福岡さんは引き続きシンセサイザーを担当。ドラムは打ち込んだものを同期しているようだ。「ほとんどチョコレート」の後にはMCで、今回の機材の説明。

福岡「(プライバシー保護のようなエフェクトのかかった声で)ハロー!」
(オーディエンスの一部から「ハロー」という返事)
福岡「マジか、ありがとう! ハローで返してくれるなんて。今、声が変でしょ? メカになってから導入したんですけど、別に犯罪者なわけじゃないです(笑) 今回のメカットモンチーは、メカの力を最大限に駆使してやっておりまして、パソコン君しかり、メカはもうメンバーみたいなものなんです。」
橋本「…はい。」
福岡「ここに理解者が1人いました(笑) そうなんよ。見てるだけじゃいまいちわからんという方のために、いつも説明しようとするんですが、説明の仕方が難しいんですけど(笑) さっきの声が変わるやつは、私とえっちゃんの音を感知して、勝手にハモってくれる機械なんですよ! 皆さんもお金払えば明日からハモってもらえますよ(笑) 文明はお金で買えるんです! あと、曲の合間の音とか、オープニングの音はえっちゃんが作ったんですよ。」
(オーディエンスから「へぇー」という感嘆の声)
福岡「すごいでしょ?」
(オーディエンスから「すごーい!」の声)
橋本「違うんよ、今のなんて氷山の一角。一角以外の部分は、全部あっこちゃんが担って、パソコン使いの女王となって、ここに君臨しています!」
福岡「そうなんや、わたし女王なんや(笑)」
橋本「うん、すごい操ってる!」
福岡「えっちゃんも私も足元で操ってて、なるべく心まではメカにならないようにと(笑) だから、わりとフィジカルですよね。」
橋本「4年前に2ピースで来たときの考え方とはガラリと変わって、当時はもうクリックすら嫌ってて、アイツに支配されたくないっていうぐらい、電子的なものがイヤだった時期で。」
福岡「クリックの野郎!みたいな(笑)」
橋本「そう、絶対合わせません!みたいな感じで、もうズレて行こう!みたいな感じで、やってたんですけど、4年も経つと、もう頼って頼って(笑) 変わるもんですねぇ。」
福岡「でも、チャットがメカをやるのはこういうことになるんだっていう、なるべくメカだけど肉体的になりたいから、足でリズムを切り替えてたんですよ、最初の2回ぐらい。あんまりそういうことするから、パソコン止まったりして。やっぱりメンバー同士の争いはありますよね(笑)」
橋本「もう、出世魚みたいな感じですよね。」
福岡「今どのへんなんやろ? 出世魚でいうと(笑) もう一番デカいかなぁ?」
橋本「鮭?」
福岡「戻り鮭かなぁ? もう、みんなついてきてないよ(笑) じゃあ、えっちゃんが作った音を聴いてもらおうかな。」

 9曲目は「変身」。福岡さんの言葉どおり、まず橋本さんが作ったという、宇宙空間を漂うようなスペーシーなSEが流れ始める。この曲では橋本さんはエレキ・ギター、福岡さんはドラム。それ以外にもベースや効果音も聞こえるが、これらは全て打ち込んだものを同期させているようだ。オリジナル・バージョンではなく、group_inouによるGLIDER MIXに準拠したアレンジでの演奏だが、ライブ序盤の楽曲に比べると、生バンド感はますます増してきていた。

 10曲目「8cmのピンヒール」、11曲目「消えない星」も、引き続き橋本さんはエレキ・ギター、福岡さんはドラムを担当。この2曲は変身TOUR期に近いアレンジとサウンドで、これまでのチャットモンチーが得意としていたグルーブ感があふれていた。

 橋本さんの「東京と徳島のことを思って書いた曲です」という紹介から、12曲目は「majority blues」。現状の2ピースになってからの楽曲なので、ほぼ音源どおりのアレンジ。

 出たばかりの新曲ということで、収録曲とPVの紹介をしてから、13曲目に披露されたのは「Magical Fiction」。橋本さんはシンセサイザー、福岡さんはドラムを担当。この曲も現状の2ピース体制になってからの楽曲なので、音源どおりのアレンジでの演奏。ベースは打ち込みのようだ。

 14曲目は「こころとあたま」から「湯気」のメドレー。担当楽器は引き続き、橋本さんがシンセ、福岡さんがドラム。ギターレスの編成だが「こころとあたま」のイントロでは、橋本さんがラフなリズムで、フランジャーのかかったような音色でシンセを引き、バンド感は強い。

 「こころとあたま」のサビ後の間奏部分で、橋本さんがシンセからエレキ・ギターへ。福岡さんがドラムを叩き続けるなか、「湯気」のイントロのギターを弾き始める。非常に荒々しく、今までのチャットモンチーらしい音とグルーヴ感のある演奏だった。

 本編ラスト15曲目は「満月に吠えろ」。音源に近いアレンジだが、イントロ部分のギターが、音源だとドラムのカウントのあと最初の8小節はコード弾きのみ、その後8小節にギター・ソロが入ってくるが、今回のツアーでは最初からギター・ソロが入ってくる。また、橋本さんのギターと福岡さんのドラム以外にも、いくつかの電子音が打ち込みで同期されているようだ。

 アンコールでは、まず手品風のBGMが流れ始め、しばらくするとチャットモンチーの2人がステージへ。背の高い帽子と、白い手袋を着用しており、マジシャンに扮しているということのようだ。帽子の中から2人が次々に今回のツアーグッズを出していく。

福岡「なんやねんって感じでしょ(笑) これが私たちが編み出した、喋らない物販紹介です。まぁ、アンコールなんでね、おまけー!みたいな。」
橋本「今回のツアーでは、アンコールの1曲目はカバーしようって決めてて、この4月クール、新しい曲を用意…し始めています! 今の語尾の意味は?」
福岡「あのな、練習したんですよ新しい曲を。そしたら、なかなかの低い完成度で(笑) でも、どうしてもやりたいんですよ。これから徐々にうまくなっていくと思うんですけど…とりあえず聴く?笑」
(オーディエンスからは拍手と歓声)
橋本「ごめんな。先に謝っとこうか。」
福岡「先にめっちゃ謝っとく!」
橋本「でも、どうしてもやりたくって、今日もギリギリまで練習してたんですけど、やっぱり100%までいってない状態なんやけど、どうしてもやりたいから、やらせてください!」
(オーディエンスからは大きな拍手)
福岡「(シンセを弾きながら)ほんま自信ないけん、間違えたらやり直させてな。」
橋本「あっこちゃんが愛してやまない人のカバー。」
福岡「えっちゃんが一緒にやってくれるって言うから。世代的に知らん人おるかもしれんけど、手拍子してのってればいけると思います。」
橋本「じゃあ、エリandアキで、CHAGE and ASKAのモーニングムーンやります。」

 アンコール1曲目はCHAGE and ASKA(チャゲ・アンド・アスカ)のカバーで「モーニングムーン」。福岡さんがピアノの音色に設定されたシンセサイザー、橋本さんがボーカルとシェイカーとタンバリンを担当。この曲では、打ち込みは使用していない。

 橋本さんの「いっせーのーで」という声から曲がスタート。ピアノは難易度が高いらしく、1回目はイントロ部分で福岡さんが「ごめん、もう1回やらして!」と言って、仕切り直し。少しテンポを落としてから、今度は「ワン、ツー、さん、はい!」という声からスタート。福岡さんのピアノと橋本さんのボーカルとパーカッションのみの編成だが、2人の間でしっかりとグルーブ感が生まれていて、やっぱりチャットモンチーはバンドだなと感じる演奏。

福岡「もう、2点! 2点のできやったけど、無事完奏できました。」
(オーディエンスから大きな拍手)
福岡「チャゲアス大好きなんですよ、私。もちろん飛鳥も大好きで…」
(オーディエンス爆笑)
橋本「そうだよ、チャゲだけ好きなんてな。両方でCHAGE and ASKAやから。」
福岡「そう、両方好きで、ラジオでかけたかったけど、かけたらあかんって言われて(笑) 今、ちょっと世の中的にあかんって言われたから、ツアーでやりました。」
(オーディエンスから大きな拍手)
橋本「よかったな。」
福岡「ちょっと、えっちゃんに飛鳥を見たよ。一瞬しか見れんかったけど、飛鳥や!って。」
橋本「ほんま? ありがとう!」
福岡「こちらこそ、ありがとう!笑」

 アンコール2曲目は「シャングリラ」。橋本さんがギター、福岡さんがベース、それ以外のドラムと電子音は打ち込み。まず、聞き慣れたバスドラのリズムが流れ始める。福岡さんが「最後はこの曲で盛り上がっていただきたいと思います!」と言ってから、スネアが入り、橋本さんはスライド・ギターを思わせるようなフレーズを弾き始める。

 ところどころアレンジは変わっているが、ドラムのリズムやベースラインなど基本的な構成は音源どおり。オーディエンスも非常に盛り上がり、この日のライブは終了!

 月が変わって、4月1本目のライブ。アンコールでのカバー曲にもあらわれていますが、今回のツアーは試行錯誤の過程も見せてくれているようで、メンバーのMCも今までになくリラックスしているように感じます。「試行錯誤」と書きましたが、決してライブのクオリティが低いということではありませんよ。


チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017
2017年4月15日
青森クォーター (Quarter)
セットリスト

01. レディナビゲーション
02. 隣の女
03. 恋の煙
04. バースデーケーキの上を歩いて帰った
05. ぜんぶカン
06. 余談
07. CAT WALK
08. ほとんどチョコレート
09. 変身 (GLIDER MIX)
10. 8cmのピンヒール
11. 消えない星
12. majority blues
13. Magical Fiction
14. こころとあたま~湯気
15. 満月に吠えろ
アンコール
EN1. モーニングムーン (チャゲ&飛鳥カバー)
EN2. シャングリラ




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チャットモンチー 2017年3月26日 岡山CRAZYMAMA KINGDOM

チャットモンチー
2017年3月26日
岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」

 定刻になると客電が静かに落ち、それまでざわついていたオーディエンスが静まり返る。オープニングSEは今ツアー共通の、橋本さんが作成した音源だ。しばらくするとチャットモンチーの2人がステージへ。ギターやベースではなく、ステージ中央に向かい合うように設置されたシンセサイザーの前にそれぞれ座る。オーディエンス側から見て、橋本さんが右側、福岡さんが左側。

 1曲目は「レディナビゲーション」。僕自身は今回のツアーで何回も聴いているので慣れてきたが、音源とは全く違うサウンドとアレンジのため、オーディエンスからは緊張や戸惑いのような空気が伝わる。しかし1曲目が終わる頃には、それぞれが新しいチャットモンチーの楽しみ方を見つけ始めたのか、演奏が終わると大きな拍手。

 レディナビゲーション後には橋本さんが「皆さんこんばんは、チャットモンチーです! 岡山はねぇ、2年ぶりらしいです。こないだ2年前に来たときは、サポートメンバーと一緒に6人で来たんですけど、今日は2人だけでパソコンと一緒にやっていきたいと思います!」と挨拶。

 2曲目は「隣の女」。乙女団の編成時の楽曲で、オリジナルのアレンジでもピアノが使用されているが、シンセサイザーに置き換えられると、だいぶ印象が異なる。ピアノとシンセサイザーの違い以上に、打ち込みによるドラムが、リズム、サウンド共に質感を変えている。

 3曲目は「恋の煙」。この曲もオリジナル音源とは、印象が大きく異なる。音源では、歪んだギターと硬質な音のベース、正確なドラムが一体となった、音もアンサンブルもロックの魅力を絞り込んだような1曲だ。しかし、今ツアーのアレンジでは、打ち込みによる四つ打ちのドラムに2台のシンセサイザーが加わり、サウンドもリズムも、テクノポップと言った方が適切な仕上がり。オーディエンスからも最初は戸惑いが感じられたが、徐々に曲に合わせて緩やかに揺れ始める。

 「恋の煙」の後には、今度はトロピカルなイメージの、ノリのよいリズムが流れ始める。そのリズムをバックに、チャットモンチーの2人が話し始める。

福岡「じゃあ、ちょっとここでお祝い事をやりたいと思います。今日、誕生日当日っていう人いますか?」
(オーディエンスから、1人も手が上がらず)
福岡「いない! マジで!?」
橋本「こんなにおるのに? 650人ぐらい、おるんやて! ほんまにおらんのかな?」
福岡「ほんまかな? じゃあ、アラウンド3日以内。」
(オーディエンス数人から、手が上がる)
福岡「おぉおー、めっちゃおるやん!」
橋本「おった、おった!」
福岡「じゃあ今から誕生日の曲をやろうと思います。なので、サビのハッピーなバースデーって部分で、手を上げた人たちに拍手してもらえたらと思います。」

 以上の流れから、4曲目に披露されたのは「バースデーケーキの上を歩いて帰った」。ここまで3曲のドラムはダンス・ミュージック然としたベース・ドラムが特徴的なサウンドとリズムだったが、この曲では音もリズムも軽やか。そんな打ち込みのリズムの上に、2人の弾くシンセサイザーがお互いに絡み合い、徐々にグルーヴ感が生まれる。アレンジもサウンドも音源とは違うが、やはり随所にチャットモンチーらしさがにじみ出てくる。

「バースデーケーキの上を歩いて帰った」のあとのMC。
福岡「みんな拍手のときの笑顔が素敵ですね。」
橋本(シンセサイザーで電話の呼び出し音を鳴らす。徐々に音が大きく、リズムが荒々しくなる。)
福岡「もしもーし!」
橋本「もしもし? 晃子殿?」
福岡「なんで急にアキバ系になったん?笑」
橋本「絵莉子君(えりこぎみ)ですけど。今なにしてる?」
福岡「今ねぇ、岡山で650人ぐらいと桃食べてるわ。」
橋本「えっ! そんなにいっぱい桃ある?」
福岡「あるんよ。桃太郎の桃って、1個がでかいやん? 人が入るぐらいやから。だから2個ぐらいで、650人分ぐらいあんねん。えっちゃんは何してるん?」
橋本「私は桃太郎の像の前で自撮りして、SNSにアップして、それから岡山駅のサンステのマクドナルドに並んでるんやけど。」
福岡「マジで? 私も昨日、そこ行ったわ(笑)」
橋本「暇やから、今からあっこちゃんのところ行っていい? 見せたいキジがおるんよ。」
福岡「それはちょっと見たいかも(笑) じゃあキジが来てもいいように、お菓子とか片づけとくわ。」
橋本「じゃあ、これからキジ連れて行くわ。」
(シンセサイザーで「チュンチュン」という感じの鳥の鳴き声を鳴らし、橋本さんが福岡さんの隣へ移動)
福岡「まだちっちゃいやつやん(笑) いらっしゃい。」
橋本「あっこちゃんの部屋は、ここにピアノがあって、ドラムがあって、またピアノがあって、ピアノの横にはパソコンがあって、見えん人もいると思うけど、すごいことになってるんよ!」
福岡「すごいやろ?笑」
橋本「音楽するか、寝るかやなぁ。」

 橋本さんが福岡さんの部屋に遊びに来たという設定で、5曲目は「ぜんぶカン」。ここまでは、ドラムが打ち込み、2人がセンセサイザーという担当だったが、この曲では福岡さんがドラム、橋本さんがシンセサイザー。ベースラインも聞こえてきたので、これは打ち込みのようだ。イントロ部分などの一部で、橋本さんのシンセサイザーは一音を弾くと、アルペジエーターのようにフレーズが再生される設定のようだ。

「ぜんぶカン」のあとのMC。
(橋本さんが福岡さんの隣から、元の位置に戻る)
橋本「ああ、今度はあっこちゃん来んかなぁ。私の家に来んかなぁ。」
福岡 (シンセサイザーでワープ音のようなものを鳴らす)
橋本「なになにどういうこと? なんかデータだけで飛んできたってこと?」
福岡 (銃撃戦のように様々な銃声を鳴らす)
橋本「なんか悪い映画でも観てるみたい。めっちゃ撃ちあってるやん!」
福岡「めっちゃ『ウォーキング・デッド』観てんねん。今、『ウォーキング・デッド』観てて手が離せないけど、えっちゃん家いく約束してたなぁ。」
橋本「…うん、そういう流れやから。めっちゃ練習してきたやん、ここ(笑)」
福岡「じゃあ、ちょっとおしゃれして行くわ。」
(シンセサイザーで、ヒールで歩く音を鳴らし、福岡さんが橋本さんの隣に移動)
橋本「ヒールで来てる!」
福岡「えっちゃん家、意外と広いやん。」
橋本「そうやで。床は黄色ですよ!」
福岡「なんかコーヒーこぼした跡ない?」
橋本「ないよ!」
福岡「全体的に黄色いな。なんかいっつもこういう感じ(笑)」
橋本「余談が多いよな。」
福岡「言っていい? 整いました(笑)」

 6曲目は、ここまでのメカ体制とは打って変わって、アコースティックなアレンジで「余談」。橋本さんはアコースティック・ギター、福岡さんはベースを担当。橋本さんはゆったりとしたストロークでコードを弾き、福岡さんはドラムも兼ねるような、ところどころアクセントの移動するベースラインを弾いていく。この曲では、打ち込みは使用されていないようだ。

 7曲目は引き続きアコースティックなアレンジで「CAT WALK」。橋本さんはアコースティック・ギター、福岡さんは橋本さんの隣から元の位置に戻りシンセサイザー。シンセサイザーはピアノの音色に設定されている。また、ドラムとベースは打ち込んだものを同期しているようだ。

 8曲目は「ほとんどチョコレート」。橋本さんはギターをエレキに持ち替え、福岡さんは引き続きシンセサイザー。打ち込みにより、ベースとドラムなど複数の音色の音が足されている。バスドラとベースのような低音が、沈み込むように会場内に響いていた。

「ほとんどチョコレート」のあとのMC。
福岡「メカットモンチーどうよ?」
(オーディエンスから「最高ー!」の声)
福岡「ありがとう! ごめんな、言わしたみたいで(笑) さっきえっちゃんも言ってたけど、前に来たときは6人編成で、サボートメンバーがすごく支えてくれました。サポートメンバー迎えるのは初めてだったし、すごくいろんなことを学びまして、それからもう1回ふたりだけでやってみたらどうなるかなって、純粋に興味があって、チャットモンチーからは想像できない、まさかの機械を入れてやるっていうのは、一番興味があったんですよ。それを、機械っぽいシングルを出すこともなく、急に機械仕掛けのツアーやるけん来てな!って言って、ようこんだけ集まってくれました。ありがとう!」
橋本「ほんまありがとうございます。めっちゃ嬉しい。」
福岡「目の粗いふるいから、目の細かいふるいまで、いくつもふるいにかけられて残ったダマたちが、ここに残ってるわけですね。」
橋本「ほんまに安心感が、すごいあるんですよね。」
福岡「えっちゃん、過去最高しゃべっとるよな。」
橋本「うん、なんかもうキャラクターとかどうでもいいかなっていう(笑) 楽屋からポンって出てきたみたいな。」

 9曲目は「変身」。まず、スペーシーなSEが流れ始め、福岡さんが「このスペーシーな音、これえっちゃんが作ったんですよ。ここからは生の楽器も足しつつ、やっていきたいと思いますんで、最後まで楽しんでってください!」と言ってから、演奏がスタート。橋本さんはエレキギター、福岡さんはドラムを担当し、ベースと一部のドラムは打ち込みで同期させているようだ。福岡さんの言葉どおり、橋本さんのギターは鋭く歪み、福岡さんのドラムは荒さを残しつつ強弱のある演奏のため、一気に生バンド感が増している。

 10曲目「8cmのピンヒール」、11曲目「消えない星」と、橋本さんがエレキギター、福岡さんがドラム、ベースが打ち込みという編成のまま演奏が続く。この2曲は、ライブ序盤のメカ全開のアレンジに比べると音源のアレンジに近く、アルバム『変身』期の2ピースを彷彿とさせるもの。橋本さんの「次の曲は、岡山からそう遠くない徳島のことを歌った曲です。」という言葉から、12曲目に演奏されたのは「majority blues」。こちらも音源とほぼ同じアレンジ。

「majority blues」後のMC。
橋本「サンキューです。」
福岡「えっ?」
橋本「サンキューですって言ったの。…ちょっと空気こわしたかな?」
福岡「大丈夫、あの感じじゃないから大丈夫。サンキューで〜す!じゃないから大丈夫(笑) ほんまに楽屋と変わらんなぁ。」
橋本「そうなの。こんなツアー初めてかもしれん。」
福岡「昔、おらおらって感じでやってたときは、そういう気持ちで臨んでましたけど、今コーヒー飲めるもんな。」
橋本「全然! お味噌汁も飲めると思う!」
福岡「ていうぐらい、リラックスした気持ちで今回のツアー、回れてます。でもメカになったばっかりのときは、めちゃくちゃ緊張してまして、初めてのメカットモンチー披露のときに、2人で胃薬で乾杯しましたね(笑)」
橋本「したなぁ、出番の直前に。」
福岡「そんなチャットモンチーなんですが、4月5日に新しいシングルを出します! なんと、新曲なのにメカっぽくない(笑) また、生音で録りましたね。」

 福岡さんの紹介どおり、13曲目は4月5日発売の新曲「Magical Fiction」。この曲では、橋本さんがシンセサイザー、福岡さんがドラムを担当。ギターレスのため、今までのチャットモンチーとは質感が異なるが、生演奏感、グルーヴ感が溢れる演奏だった。

 14曲目は「こころとあたま」から「湯気」へのメドレー。橋本さんは引き続きシンセサイザーを弾くが、「こころとあたま」のサビが終わり間奏になったところで、楽器をエレキギターに替え、「湯気」のイントロを弾き始める。荒々しさとタイトさの共存したチャットモンチーらしい演奏。

 本編ラストの15曲目は「満月に吠えろ」。橋本さんはギター、福岡さんはドラムで、ベースなどいくつかの音が打ち込みによって足されている。『変身』収録の音源に近いアレンジで、このときのツアーでの演奏に近い。Aメロ部分では、橋本さんのダンスも披露された。

 アンコールでは、手品風のBGMが流れるなか、背の高いハットと白手袋でマジシャンの扮した2人が、ハットから次々と今ツアーのグッズを出していく。無言のグッズ紹介ということだ。

 橋本さんの「アンコール1曲目はカバーをしたいと思います!」という言葉から、演奏されたのはGO!GO!7188のカバーで「瑠璃色」。橋本さんはギター、福岡さんはシンセサイザーで、ドラムは打ち込み。シンセサイザーの音色はピアノに設定されている。打ち込みのドラムも含めて、各楽器が絡み合ってグルーズ感が生まれていく演奏だった。

 アンコール2曲目、この日のラストは「シャングリラ」。橋本さんは引き続きギター、福岡さんはベースで、ドラムは打ち込み。イントロのバスドラの四つ打ち部分が音源よりも長く、ドラム以外にキーボードの音も打ち込みで足されている。しかし、基本的には音源に近いアレンジで、2人と機械だけでさすがのグルーヴ感を作っていた。オーディエンスも非常の盛り上がり、この日のライブが終了。帰り際に福岡さんが「また帰ってくるけん、遊びに来てな。次はどんな体制かわからんけど、岡山の人は来てくれると信じています! ありがとうございました!」と挨拶。

 3月9日の新潟から始まったツアーも6本目。演奏も雰囲気も成熟してきていて、すごいものを見せてもらっている、音楽が育っていく瞬間に立ち会えている、という感覚をあります。本当にすばらしいです、チャットモンチー!


チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017
2017年3月26日
岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
セットリスト

01. レディナビゲーション
02. 隣の女
03. 恋の煙
04. バースデーケーキの上を歩いて帰った
05. ぜんぶカン
06. 余談
07. CAT WALK
08. ほとんどチョコレート
09. 変身 (GLIDER MIX)
10. 8cmのピンヒール
11. 消えない星
12. majority blues
13. Magical Fiction
14. こころとあたま~湯気
15. 満月に吠えろ
アンコール
EN1. 瑠璃色 (GO!GO!7188カバー)
EN2. シャングリラ




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