チャットモンチー 2017年3月26日 岡山CRAZYMAMA KINGDOM

チャットモンチー
2017年3月26日
岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」

 定刻になると客電が静かに落ち、それまでざわついていたオーディエンスが静まり返る。オープニングSEは今ツアー共通の、橋本さんが作成した音源だ。しばらくするとチャットモンチーの2人がステージへ。ギターやベースではなく、ステージ中央に向かい合うように設置されたシンセサイザーの前にそれぞれ座る。オーディエンス側から見て、橋本さんが右側、福岡さんが左側。

 1曲目は「レディナビゲーション」。僕自身は今回のツアーで何回も聴いているので慣れてきたが、音源とは全く違うサウンドとアレンジのため、オーディエンスからは緊張や戸惑いのような空気が伝わる。しかし1曲目が終わる頃には、それぞれが新しいチャットモンチーの楽しみ方を見つけ始めたのか、演奏が終わると大きな拍手。

 レディナビゲーション後には橋本さんが「皆さんこんばんは、チャットモンチーです! 岡山はねぇ、2年ぶりらしいです。こないだ2年前に来たときは、サポートメンバーと一緒に6人で来たんですけど、今日は2人だけでパソコンと一緒にやっていきたいと思います!」と挨拶。

 2曲目は「隣の女」。乙女団の編成時の楽曲で、オリジナルのアレンジでもピアノが使用されているが、シンセサイザーに置き換えられると、だいぶ印象が異なる。ピアノとシンセサイザーの違い以上に、打ち込みによるドラムが、リズム、サウンド共に質感を変えている。

 3曲目は「恋の煙」。この曲もオリジナル音源とは、印象が大きく異なる。音源では、歪んだギターと硬質な音のベース、正確なドラムが一体となった、音もアンサンブルもロックの魅力を絞り込んだような1曲だ。しかし、今ツアーのアレンジでは、打ち込みによる四つ打ちのドラムに2台のシンセサイザーが加わり、サウンドもリズムも、テクノポップと言った方が適切な仕上がり。オーディエンスからも最初は戸惑いが感じられたが、徐々に曲に合わせて緩やかに揺れ始める。

 「恋の煙」の後には、今度はトロピカルなイメージの、ノリのよいリズムが流れ始める。そのリズムをバックに、チャットモンチーの2人が話し始める。

福岡「じゃあ、ちょっとここでお祝い事をやりたいと思います。今日、誕生日当日っていう人いますか?」
(オーディエンスから、1人も手が上がらず)
福岡「いない! マジで!?」
橋本「こんなにおるのに? 650人ぐらい、おるんやて! ほんまにおらんのかな?」
福岡「ほんまかな? じゃあ、アラウンド3日以内。」
(オーディエンス数人から、手が上がる)
福岡「おぉおー、めっちゃおるやん!」
橋本「おった、おった!」
福岡「じゃあ今から誕生日の曲をやろうと思います。なので、サビのハッピーなバースデーって部分で、手を上げた人たちに拍手してもらえたらと思います。」

 以上の流れから、4曲目に披露されたのは「バースデーケーキの上を歩いて帰った」。ここまで3曲のドラムはダンス・ミュージック然としたベース・ドラムが特徴的なサウンドとリズムだったが、この曲では音もリズムも軽やか。そんな打ち込みのリズムの上に、2人の弾くシンセサイザーがお互いに絡み合い、徐々にグルーヴ感が生まれる。アレンジもサウンドも音源とは違うが、やはり随所にチャットモンチーらしさがにじみ出てくる。

「バースデーケーキの上を歩いて帰った」のあとのMC。
福岡「みんな拍手のときの笑顔が素敵ですね。」
橋本(シンセサイザーで電話の呼び出し音を鳴らす。徐々に音が大きく、リズムが荒々しくなる。)
福岡「もしもーし!」
橋本「もしもし? 晃子殿?」
福岡「なんで急にアキバ系になったん?笑」
橋本「絵莉子君(えりこぎみ)ですけど。今なにしてる?」
福岡「今ねぇ、岡山で650人ぐらいと桃食べてるわ。」
橋本「えっ! そんなにいっぱい桃ある?」
福岡「あるんよ。桃太郎の桃って、1個がでかいやん? 人が入るぐらいやから。だから2個ぐらいで、650人分ぐらいあんねん。えっちゃんは何してるん?」
橋本「私は桃太郎の像の前で自撮りして、SNSにアップして、それから岡山駅のサンステのマクドナルドに並んでるんやけど。」
福岡「マジで? 私も昨日、そこ行ったわ(笑)」
橋本「暇やから、今からあっこちゃんのところ行っていい? 見せたいキジがおるんよ。」
福岡「それはちょっと見たいかも(笑) じゃあキジが来てもいいように、お菓子とか片づけとくわ。」
橋本「じゃあ、これからキジ連れて行くわ。」
(シンセサイザーで「チュンチュン」という感じの鳥の鳴き声を鳴らし、橋本さんが福岡さんの隣へ移動)
福岡「まだちっちゃいやつやん(笑) いらっしゃい。」
橋本「あっこちゃんの部屋は、ここにピアノがあって、ドラムがあって、またピアノがあって、ピアノの横にはパソコンがあって、見えん人もいると思うけど、すごいことになってるんよ!」
福岡「すごいやろ?笑」
橋本「音楽するか、寝るかやなぁ。」

 橋本さんが福岡さんの部屋に遊びに来たという設定で、5曲目は「ぜんぶカン」。ここまでは、ドラムが打ち込み、2人がセンセサイザーという担当だったが、この曲では福岡さんがドラム、橋本さんがシンセサイザー。ベースラインも聞こえてきたので、これは打ち込みのようだ。イントロ部分などの一部で、橋本さんのシンセサイザーは一音を弾くと、アルペジエーターのようにフレーズが再生される設定のようだ。

「ぜんぶカン」のあとのMC。
(橋本さんが福岡さんの隣から、元の位置に戻る)
橋本「ああ、今度はあっこちゃん来んかなぁ。私の家に来んかなぁ。」
福岡 (シンセサイザーでワープ音のようなものを鳴らす)
橋本「なになにどういうこと? なんかデータだけで飛んできたってこと?」
福岡 (銃撃戦のように様々な銃声を鳴らす)
橋本「なんか悪い映画でも観てるみたい。めっちゃ撃ちあってるやん!」
福岡「めっちゃ『ウォーキング・デッド』観てんねん。今、『ウォーキング・デッド』観てて手が離せないけど、えっちゃん家いく約束してたなぁ。」
橋本「…うん、そういう流れやから。めっちゃ練習してきたやん、ここ(笑)」
福岡「じゃあ、ちょっとおしゃれして行くわ。」
(シンセサイザーで、ヒールで歩く音を鳴らし、福岡さんが橋本さんの隣に移動)
橋本「ヒールで来てる!」
福岡「えっちゃん家、意外と広いやん。」
橋本「そうやで。床は黄色ですよ!」
福岡「なんかコーヒーこぼした跡ない?」
橋本「ないよ!」
福岡「全体的に黄色いな。なんかいっつもこういう感じ(笑)」
橋本「余談が多いよな。」
福岡「言っていい? 整いました(笑)」

 6曲目は、ここまでのメカ体制とは打って変わって、アコースティックなアレンジで「余談」。橋本さんはアコースティック・ギター、福岡さんはベースを担当。橋本さんはゆったりとしたストロークでコードを弾き、福岡さんはドラムも兼ねるような、ところどころアクセントの移動するベースラインを弾いていく。この曲では、打ち込みは使用されていないようだ。

 7曲目は引き続きアコースティックなアレンジで「CAT WALK」。橋本さんはアコースティック・ギター、福岡さんは橋本さんの隣から元の位置に戻りシンセサイザー。シンセサイザーはピアノの音色に設定されている。また、ドラムとベースは打ち込んだものを同期しているようだ。

 8曲目は「ほとんどチョコレート」。橋本さんはギターをエレキに持ち替え、福岡さんは引き続きシンセサイザー。打ち込みにより、ベースとドラムなど複数の音色の音が足されている。バスドラとベースのような低音が、沈み込むように会場内に響いていた。

「ほとんどチョコレート」のあとのMC。
福岡「メカットモンチーどうよ?」
(オーディエンスから「最高ー!」の声)
福岡「ありがとう! ごめんな、言わしたみたいで(笑) さっきえっちゃんも言ってたけど、前に来たときは6人編成で、サボートメンバーがすごく支えてくれました。サポートメンバー迎えるのは初めてだったし、すごくいろんなことを学びまして、それからもう1回ふたりだけでやってみたらどうなるかなって、純粋に興味があって、チャットモンチーからは想像できない、まさかの機械を入れてやるっていうのは、一番興味があったんですよ。それを、機械っぽいシングルを出すこともなく、急に機械仕掛けのツアーやるけん来てな!って言って、ようこんだけ集まってくれました。ありがとう!」
橋本「ほんまありがとうございます。めっちゃ嬉しい。」
福岡「目の粗いふるいから、目の細かいふるいまで、いくつもふるいにかけられて残ったダマたちが、ここに残ってるわけですね。」
橋本「ほんまに安心感が、すごいあるんですよね。」
福岡「えっちゃん、過去最高しゃべっとるよな。」
橋本「うん、なんかもうキャラクターとかどうでもいいかなっていう(笑) 楽屋からポンって出てきたみたいな。」

 9曲目は「変身」。まず、スペーシーなSEが流れ始め、福岡さんが「このスペーシーな音、これえっちゃんが作ったんですよ。ここからは生の楽器も足しつつ、やっていきたいと思いますんで、最後まで楽しんでってください!」と言ってから、演奏がスタート。橋本さんはエレキギター、福岡さんはドラムを担当し、ベースと一部のドラムは打ち込みで同期させているようだ。福岡さんの言葉どおり、橋本さんのギターは鋭く歪み、福岡さんのドラムは荒さを残しつつ強弱のある演奏のため、一気に生バンド感が増している。

 10曲目「8cmのピンヒール」、11曲目「消えない星」と、橋本さんがエレキギター、福岡さんがドラム、ベースが打ち込みという編成のまま演奏が続く。この2曲は、ライブ序盤のメカ全開のアレンジに比べると音源のアレンジに近く、アルバム『変身』期の2ピースを彷彿とさせるもの。橋本さんの「次の曲は、岡山からそう遠くない徳島のことを歌った曲です。」という言葉から、12曲目に演奏されたのは「majority blues」。こちらも音源とほぼ同じアレンジ。

「majority blues」後のMC。
橋本「サンキューです。」
福岡「えっ?」
橋本「サンキューですって言ったの。…ちょっと空気こわしたかな?」
福岡「大丈夫、あの感じじゃないから大丈夫。サンキューで〜す!じゃないから大丈夫(笑) ほんまに楽屋と変わらんなぁ。」
橋本「そうなの。こんなツアー初めてかもしれん。」
福岡「昔、おらおらって感じでやってたときは、そういう気持ちで臨んでましたけど、今コーヒー飲めるもんな。」
橋本「全然! お味噌汁も飲めると思う!」
福岡「ていうぐらい、リラックスした気持ちで今回のツアー、回れてます。でもメカになったばっかりのときは、めちゃくちゃ緊張してまして、初めてのメカットモンチー披露のときに、2人で胃薬で乾杯しましたね(笑)」
橋本「したなぁ、出番の直前に。」
福岡「そんなチャットモンチーなんですが、4月5日に新しいシングルを出します! なんと、新曲なのにメカっぽくない(笑) また、生音で録りましたね。」

 福岡さんの紹介どおり、13曲目は4月5日発売の新曲「Magical Fiction」。この曲では、橋本さんがシンセサイザー、福岡さんがドラムを担当。ギターレスのため、今までのチャットモンチーとは質感が異なるが、生演奏感、グルーヴ感が溢れる演奏だった。

 14曲目は「こころとあたま」から「湯気」へのメドレー。橋本さんは引き続きシンセサイザーを弾くが、「こころとあたま」のサビが終わり間奏になったところで、楽器をエレキギターに替え、「湯気」のイントロを弾き始める。荒々しさとタイトさの共存したチャットモンチーらしい演奏。

 本編ラストの15曲目は「満月に吠えろ」。橋本さんはギター、福岡さんはドラムで、ベースなどいくつかの音が打ち込みによって足されている。『変身』収録の音源に近いアレンジで、このときのツアーでの演奏に近い。Aメロ部分では、橋本さんのダンスも披露された。

 アンコールでは、手品風のBGMが流れるなか、背の高いハットと白手袋でマジシャンの扮した2人が、ハットから次々と今ツアーのグッズを出していく。無言のグッズ紹介ということだ。

 橋本さんの「アンコール1曲目はカバーをしたいと思います!」という言葉から、演奏されたのはGO!GO!7188のカバーで「瑠璃色」。橋本さんはギター、福岡さんはシンセサイザーで、ドラムは打ち込み。シンセサイザーの音色はピアノに設定されている。打ち込みのドラムも含めて、各楽器が絡み合ってグルーズ感が生まれていく演奏だった。

 アンコール2曲目、この日のラストは「シャングリラ」。橋本さんは引き続きギター、福岡さんはベースで、ドラムは打ち込み。イントロのバスドラの四つ打ち部分が音源よりも長く、ドラム以外にキーボードの音も打ち込みで足されている。しかし、基本的には音源に近いアレンジで、2人と機械だけでさすがのグルーヴ感を作っていた。オーディエンスも非常の盛り上がり、この日のライブが終了。帰り際に福岡さんが「また帰ってくるけん、遊びに来てな。次はどんな体制かわからんけど、岡山の人は来てくれると信じています! ありがとうございました!」と挨拶。

 3月9日の新潟から始まったツアーも6本目。演奏も雰囲気も成熟してきていて、すごいものを見せてもらっている、音楽が育っていく瞬間に立ち会えている、という感覚をあります。本当にすばらしいです、チャットモンチー!


チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017
2017年3月26日
岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
セットリスト

01. レディナビゲーション
02. 隣の女
03. 恋の煙
04. バースデーケーキの上を歩いて帰った
05. ぜんぶカン
06. 余談
07. CAT WALK
08. ほとんどチョコレート
09. 変身 (GLIDER MIX)
10. 8cmのピンヒール
11. 消えない星
12. majority blues
13. Magical Fiction
14. こころとあたま~湯気
15. 満月に吠えろ
アンコール
EN1. 瑠璃色 (GO!GO!7188カバー)
EN2. シャングリラ




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