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チャットモンチー 2017年8月6日 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017

チャットモンチー
2017年8月6日
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
(国営ひたち海浜公園)

 チャットモンチー2年ぶりのROCK IN JAPAN FESTIVAL。PARK STAGEのトップバッター、10:30からの出演です。

 9:30頃にPARK STAGEに着くと、すでに見慣れたスタッフの面々が機材の調整をしています。PCとシンセサイザーを全面的に導入した「メカットモンチー」体制でまわった「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」(以下「秘密基地ツアー」)同様、ステージ上には、向かい合うように2台のシンセサイザーが設置されています。

 そして、しばらくするとチャットモンチーの2人もステージへ。橋本さんは今年の夏フェスグッズの「はっとしてハット」のブルーを着用。ちなみに秘密基地ツアーのファイナル六本木公演のアンコールでは、福岡さんがブルー、橋本さんがオレンジを着用し、「夏フェス用のグッズです」と紹介していました。

 さて、サウンドチェックでは、各楽器の音をチャットモンチー自らも加わり調整していき、秘密基地ツアーで1曲目に披露された「レディナビゲーション」を断片的に演奏しながら、最終確認をおこなっていきます。

 メカットモンチー体制での「レディナビゲーション」は、アルバム『YOU MORE』収録の音源とは音作りが大幅に異なり、打ち込みのドラムトラックの上に、チャットモンチーの2人がシンセサイザーを重ねています。シンセの音色もフワァーっとしたシンセサイザー然とした柔らかい音が選択されています。主に橋本さんが旋律的なパート、福岡さんが伴奏的なコード弾きを担当しているようです。

 この日のサウンドチェックでは、まずドラムトラックを流し始め、それに合わせて2人が何気ない感じでシンセを弾いていくのですが、程よくラフで、グルーヴ感もあり、2人のミュージシャンとしてのスキルの高さが垣間見えます。

 舞台監督のハギさんが「レディナビやります」と指示を出して、今度は橋本さんのボーカルも入って、1回目のサビ終わりぐらいまでを演奏。あくまでサウンドチェックなので、歌っていないフレーズもところどころありましたが、ほぼツアーで演奏されていたのと同じアレンジです。

 最後にマイクチェック。福岡さんはマイクチェックっぽく「ハー、ハー、ハー、へェ〜エ。この曲(レディナビゲーション)やらないから、安心してね!」、橋本さんは「あー、あー、あー、おはよう! おはよう!! 10:30からだよ。」と言って、マイクチェックも終了。2人がステージ奥へ戻ります。

 10:30が近づくと、前説のためにROCKIN’ON JAPAN編集長の小栁大輔さんがステージへ。今年は見やすさを考慮しながら各ステージの規模を拡大したこと、地震が起きた場合の注意事項などを説明した後に「2年ぶりにROCK IN JAPANに帰ってきてくれました! 毎回、違う試みで、その日だけのマジカルな時間を作ってくれる2人です。チャットモンチー!」という呼び込みから、入場用のSEが流れます。

 入場用SEは、橋本さんが作成したという秘密基地ツアーでも使用されたオリジナルのSEです。そして、いよいよチャットモンチーがステージへ。前述した通りステージ上には向かい合うように2台のシンセサイザーが設置されていて、オーディエンス側から見て、右側のシンセサイザーに橋本さん、左側に福岡さんが座ります。

 1曲目は「恋の煙」。この曲もアルバム『耳鳴り』収録の音源とは耳障りがだいぶ異なり、元々は鋭く歪んだギターが弾くイントロは、シンセサイザーに置き換えられています。しかし、イントロからしばらくすると手拍子が起こり、オーディエンスの反応は悪くありません。

 「恋の煙」の後には、橋本さんが「皆さん、おはようございます、チャットモンチーです!」、福岡さんが「いっぱい集まってくれてありがとう! チャットモンチーは変身ばっかりしてきましたけど、まずはメカットモンチーから始めたいと思います。」と挨拶。2人が喋っている間から、SEが流れ始め、そのまま自然な流れで2曲目の「変身」へ。

 メカットモンチー体制では、アルバム『変身』収録のオリジナルバージョンではなく、group_inouによるGLIDER MIXをもとにしたアレンジで演奏しています。この曲では、橋本さんはエレキギター(黒のシンライン)を担当。

 「変身」が終わると、ほとんど切れ目なく打ち込みのリズムが流れ始め、3曲目「M4EVER」へ。この曲が秘密基地ツアーで演奏された際には、このリズムトラックをバックに、メンバーとオーディエンスが、コール・アンド・レスポンスをしてから曲に入っていましたが、なんとこの日はラジオ体操!

橋本「みんな、朝やけど起きてますか?」
(オーディエンスから「イェー!」の声)
福岡「寝たまま、立ってたら凄いけどな(笑)」
橋本「確かに(笑) ちょっとだけラジオ体操する?」
(オーディエンスからは、また「イェー!」の声)
橋本「よかった、じゃあ真似して。」
(チャットモンチーの2人が、無言でラジオ体操第一の「体を横に曲げる運動」を左右に何回か繰り返し、オーディエンスもそれを真似する)
福岡「無言かよ(笑) ラジオ体操の先生の気持ち分かりました。めっちゃ気持ちいい!」
橋本「めっちゃ綺麗やで! これでみんな起きたと思います、ありがとう。」
福岡「今からやる曲は、オケをパソコン君に任せて、2人でラップやります!」

 この流れで、3曲目「M4EVER」へ。福岡さんも説明していましたが、この曲はチャットモンチーのアルバムなどには収録されておらず、スチャダラパーのアルバム『1212』と『6ピース バリューパック』のみに収録。橋本さんがお母さん役で、スチャダラパーのメンバーが息子たちという設定の曲ですが、メカットモンチーでは福岡さんがスチャダラパーのパートのラップを担当しています。

 前述の通り、リズムトラックをパソコンで流しつつ、2人で交互にラップしていくのですが、ラップを担当しない間のメンバーは、コルグ製の小さなシンセ(microKORGらしきもの)を手に持って、ベースラインを弾きます。2人で、シンセとマイクを交換しながらの演奏です。

 「M4EVER」後にはMC。小さめの音ですが、GRASS STAGEで演奏中のWANIMAが聞こえてきます。

福岡「いいんですか、(同時間に演奏している)WANIMA行かなくて?」
(オーディエンスから笑い)
福岡「私はめっちゃ見たいですけどね。あんまり聞こえへんな。」
橋本「遠いからな。」
福岡「そうやな。ちょっとだけチャット見てから行こうと思っても、無理ある距離ですよね。(チャットモンチーを見る)決断してくれてありがとう!」
(オーディエンスから拍手)
橋本「あ、(裏でやってるバンドに)夜の本気ダンスもおったな。」
福岡「夜の本気ダンスのギターの人が、チャットを好きらしいって四星球の康雄から聞いたんですけど(笑) でも、えっちゃん夜の本気ダンスってバンド名が覚えられんくて、踊る……なんとかの人って(笑)」

 4曲目は「コンビニエンスハネムーン」。福岡さんがアコースティック・ギター、橋本さんがシェイカー、タンバリン、ハーモニカを担当するアコースティックなアレンジ。ここまでの4曲だけでも、2人の音楽性の幅広さ、引き出しの多さが感じられるセットリストとなっています。

 橋本さんの「じゃあ、徳島のことを歌った曲やります。」という紹介から、5曲目に披露されたのは「majority blues」。橋本さんはエレキギター、福岡さんはドラムを担当し、ベースとキーボードは打ち込んだものを同期しているようです。「majority blues」後にもMC。

福岡「ROCK IN JAPANにいつも呼んでいただいて、ここのステージは初めてなんですけど、見た目がいいですね。こっちから見た時の。木が多くて、森感あるし、ええなぁ。チャットモンチーからは特に宣伝とかは無いんですけど(笑)、4月に新曲を出してて、その曲のPVがめっちゃ面白いという話だけさせていただきます。えっちゃんが大好きなお笑い芸人さんに出ていただいてるんですけど、曲が全く頭に入ってこないと有名なPVになってしまいました(笑)」
橋本「うん。おすすめだよ。」

 6曲目は「Magical Fiction」。福岡さんの説明のとおり、PVにはテツandトモのお二人が出演し、踊りまくっています。この曲では、橋本さんがシンセサイザー、福岡さんがドラムを担当。ベースなどは打ち込みを使用。

 7曲目は「風吹けば恋」。2人の担当楽器は、橋本さんがエレキギター、福岡さんがドラムで、ベースなどは打ち込み。打ち込みを使用してはいるものの、メカットモンチー要素は薄く、音源に近いパワフルなアレンジです。チャットモンチーらしい尖った部分もあり、『変身』期の2人体制を思い起こさせます。こういった大規模のフェスということもあり、チャットモンチーをあまり見たこともない方もいるでしょうし、やはり一般的にチャットの代表曲と言っていいこの曲は、大いに盛り上がりました。

 ラスト8曲目は、福岡さんの「やっぱ最後はこの曲だよね。」という言葉から「シャングリラ」。橋本さんはギターを黒のシンラインから、サンバーストのテレキャスターに持ち替え、福岡さんはこの日初めてベースを担当。ドラムは打ち込み。基本的には音源に近いアレンジですが、打ち込みによる電子音が足されていて、マッシヴ感とメカット感の同居した音に仕上がっています。

 「風吹けば恋」に続き、知っている人が多いであろう「シャングリラ」。イントロ部分からオーディエンから手拍子がおこり、きっちりと満足感を残し、ライブは終了となりました。わずか8曲、時間にして40分ほどの中に、ここまで変幻自在に音色を詰め込みながら、すべてがチャットモンチーらしいグルーヴにまとまっていて、秘密基地ツアーを凝縮したような素晴らしいライブでした。

 1、2曲目でのメカットモンチー顔見せ。3、4曲目でのチャットのパブリックイメージには無いラップとアコースティックの提示。5、6曲目での現2人体制でのバンドサウンド。7、8曲目での代表曲の再構築、と本当に無駄がなく、情報量の多いライブだと思います。わずか40分足らずで、手際よく次々と新しいチャットモンチーを見せていく展開に、チャットモンチーのライブバンドとしての強さと、さらなる成熟を感じますね。


ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 (国営ひたち海浜公園)
2017年8月6日
セットリスト

01. 恋の煙
02. 変身 (GLIDER MIX)
03. M4EVER
04. コンビニエンスハネムーン
05. majority blues
06. Magical Fiction
07. 風吹けば恋
08. シャングリラ




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