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チャットモンチー 2017年3月20日 鹿児島Caparvo Hall

チャットモンチー
2017年3月20日
鹿児島Caparvo Hall (キャパルボ・ホール)
「チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017」

 定刻を少し過ぎると客電が落ち、今回のツアー共通のオープニングSEが流れ始める。ベースの音の上を、様々な効果音が飛び交うSEだ。しばらくすると照明がつき、チャットモンチーの2人がステージへ。ステージ上には、今回のツアータイトルにある「秘密基地」を連想させるようなオブジェや造草が飾り付けられており、その中に2人組のバンドには多すぎるぐらいの楽器や機材がセッティングされている。ステージ中央付近には2台のシンセサイザーが向かい合うように設置されており、オーディエンスから見て右側に橋本さん、左側に福岡さんが座り、ライブがスタート。

 1曲目は「レディナビゲーション」。前述のとおり、2人ともギターとベースではなく、シンセサイザーを演奏。しかも、シンセサイザー然とした、いかにも電子音らしい音色が選択されている。現代的な「バキバキ」と形容されるような音ではなく、どちらかというと「ピコピコ」と言った方がよさそうな音だ。ドラムは、シーケンサーに打ち込んだものをPCから流しているようで、こちらの音質も生音らしい音ではなく、電子音らしい音が選択されている。CDに収録されている音源とは、音の耳障りが大幅に異なるため、オーディエンスも少なからず困惑しているように感じる。曲が終わると、橋本さんが「かごんまの皆さんこんばんは、チャットモンチーでごわす! ごわす、ごわす!」と挨拶。場の空気が一気に和む。

 2曲目「隣の女」、3曲目「恋の煙」と、その後の2曲も元々のアレンジからは一変して、シンセサイザーをフューチャーしたアレンジになっている。特に「恋の煙」は、イントロの鋭いサウンドのギターを、シンセサイザーでなぞっているため、元のアレンジとの違いが特に際立っていた。

 4曲目「バースデーケーキの上を歩いて帰った」の前には、福岡さんが「ここ3日以内が誕生日の人いますか?」とオーディエンスに問いかけ、数人の手が上がる。サビのところで、その人たちに向かって拍手をしてください、という説明をしてから、演奏がスタート。「バースデーケーキの上を歩いて帰った」の後にはちょっと長めのMC。

橋本(シンセで何種類かの電話の呼び出し音を鳴らす)
福岡「もしもし、福岡です。」
橋本「(なまった感じで) もしもし、あっこちゃん?」
福岡「(笑) (橋本さんと同じくなまった感じで) えっちゃん、どしたの?」
橋本「今、なにしてる?」
福岡「薩摩剣士隼人、観てる。」
(オーディエンスから拍手と笑い)
橋本「たぎってる?…たぎってる?」
福岡「たぎってる(笑) たぎる薩摩の風が吹く! えっちゃんは今どこ?」
橋本「鹿児島水族館でね、ピラルク……ピラルク、見てる…」
福岡「なに、ピラルクって?笑」
橋本「世界最大の淡水魚…を見たあとに、ザビエル公園にいる。キャパルボのすぐ隣。」
福岡「じゃあ、来なよ! キャパルボの上の方が家やから。今、500人ぐらいと一緒にお茶してるから。」
橋本(シンセで電車の走る音を鳴らす)
橋本さんが、ステージ左側の福岡さんの隣に移動。

 5曲目は「ぜんぶカン」。この曲では、福岡さんはドラムを叩き、徐々にメカな音質とアレンジから、今までのチャットモンチーのマッシヴな要素が増えていく。「ぜんぶカン」の後には、2人が元々橋本さんのいたステージ右側へ移動。橋本さんがアコースティック・ギター、福岡さんがベースを持ち、6曲目は「余談」。打ち込みの使用も無く、2人の生演奏のみでアコースティックなアレンジでの演奏だった。7曲目の「CAT WALK」では、福岡さんがシンセサイザーへ移動。今度は打ち込みのリズムを使用している。8曲目「ほとんどチョコレート」では、橋本さんがエレキ・ギターに持ち替え、また全体の音の印象が変わっていく。「ほとんどチョコレート」の後にはMC。

福岡「どっち喋ろうかな。鹿児島の話とチャットモンチーの話、どっちがいい?」
(オーディエンスから「チャットモンチー!」の声)
福岡「えっ!? そっか、鹿児島の話は聞き飽きてるか。でも鹿児島の話、したいねんけど(笑) ちょっと鹿児島の話していい? 今回のツアー、九州のなかで一番、鹿児島を堪能したと思います。昨日、天文館通りの九州パンケーキのお店に入ったら、目の前に蜂楽饅頭(ホウラクマンジュウ)のお店があって、あとで買ってこうと思ったら、パンケーキ食べてる間に20人ぐらい並んで、だから明日にしようと思って。今日は山形屋に行きました。地方のデパート好きなんやけど、徳島にはそごうがあるんですけど、鹿児島は山形屋なんですね。で、納屋通りってところを通って帰ってきた。めっちゃ堪能したよっていう話。」
(福岡さんが話をしている間、橋本さんが「うん」「えぇ?」などと反応している)

 9曲目は「変身」。アルバム「変身」に収録されているバージョンではなく、group_inouによるGLIDER MIXをもとにした演奏。続いて、10曲目に「8cmのピンヒール」、11曲目に「消えない星」。この2曲で、ますますメカ要素を薄めていく。「消えない星」は、ほぼ音源どおりのアレンジ。12曲目は、橋本さんの「徳島から東京に出てきたころの思い出を書いた曲です。」という曲紹介から「majority blues」。こちらも、もともと2人でレコーディングされた曲ということもあり、ほぼ音源通りのアレンジで演奏された。

福岡「次にやる曲はMagical Fictionって曲なんですけど、もうすぐPVができるんで、でき上がったら絶対見てほしいです。えっちゃんが大ファンの人が出ています。」
橋本「言っちゃダメだもんね、まだ? めっちゃ言いたい(笑)」
福岡「私もめっちゃ言いたい。でも、言ったらすぐ広まるやん(笑) ヒントはねぇ…2人組。」

 以上の曲紹介から、13曲目は「Magical Fiction」。この曲は2017年4月5日発売なので、この時点では未発売。シンセの音色にメカット要素もありつつ、生楽器感のある演奏で、音源に忠実なアレンジで披露された。

 14曲目「こころとあたま」では、橋本さんがシンセを弾く。イントロでフランジャーをかけたような、ジェット機のような音で旋律を弾いているが、ここまでのツアーの公演と比べると音の運び方が大胆になっていた。さらに、この曲はメドレーになっていて、間奏部分でドラムのみになってから、橋本さんが楽器をギターに持ち替えてリフを弾き始め「湯気」へ。リズム、音色ともにメカット要素はほぼ無く、チャットがもともと得意にしていた荒々しいハードな音とアレンジ。続く15曲目に「満月に吠えろ」を披露し、本編が終了。

 アンコールでは、まずチャットモンチーの2人がマジシャンを連想させる背の高いハットと真っ白い手袋を着用してステージに登場。シンセで手品のBGM風の曲を流し、帽子から手品の体で次々と今回のツアーグッズを出していく。最後には鹿児島銘菓のかるかんも出てきて、オーディエンスが大いに沸く。物販紹介後のMC。

福岡「ちょっとこれ(かるかん)食べていい?」
橋本「えっ、ステージでかるかん食べるん!?」
福岡「めっちゃおいしい! これは元気が出るかるかんなの。GO!GO!7188のあっこさんが差し入れでくれたやつ。」
(オーディエンスから拍手)
橋本「元気が出まくるなー!」
福岡「ベース上手くなる! ベースあんまり弾いてないけどな(笑)」
橋本「アンコールの1曲目はカバーをやってるんですけど、なんとGO!GO!7188の瑠璃色って曲をやります。鹿児島でやるのめっちゃ緊張するなぁ。」
福岡「ぶっちゃけ、めっちゃ緊張してます(笑) この曲が一番緊張してます。今までミスらなかったところでミスりそう。GO!GO!7188さんにはアマチュアの時から憧れてて、今カバーするのどう?ってえっちゃんが言ってくれて。」
橋本「10代の終わりにMONSTER baSHってフェスにGO!GO!7188が出たときに、あっこちゃんと2人でお客さんとして見に行って、あまりの良さに涙を流し、そのときに瑠璃色もやってて、なんてええ曲なんやと思って、その曲を時を経て今日カバーしたいと思います!」

 以上のエモいエピソードを紹介したあとで、アンコール1曲目に演奏されたのは「瑠璃色」。橋本さんがギター、福岡さんがシンセサイザーで、ドラムは打ち込んだものを流しているようだ。GO!GO!7188のオリジナル音源では、サビでテンポが上がる、1曲のなかのダイナミズムが大きい曲だが、チャットモンチーはゆったりしたテンポで、2人のグルーヴを重視したアレンジを施していた。

 アンコール2曲目、ラストは福岡さんの「それでは最後の曲になりました。みんな来てよかったなって思う曲やるよ!」という言葉から、「シャングリラ」がスタート。橋本さんはギター、福岡さんはベース、ドラムは打ち込み。ドラム以外にも打ち込みによる電子音が足されていて、イントロが音源よりも長めだった。ギターとベース、基本のリズムは音源とほぼ変わらないため、オーディエンスも大いに盛り上がり、この日のライブが終了。

 この日の鹿児島公演で、今ツアー4本目。グルーヴがどんどん磨き込まれていくのが、実感できるライブでした。そして、2人もライブ中に何度か口にしていたけど、この日に限らずお客さんが本当に暖かい。今回のツアーは久しぶりに訪れる場所も多く、ここ鹿児島も2012年12月の変身ツアー以来4年3ヶ月ぶりのライブだったようです。(ライブ中に橋本さんご本人も「鹿児島に来るのは4年ぶりぐらい」と発言)


チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017
2017年3月20日
鹿児島Caparvo Hall
セットリスト

01. レディナビゲーション
02. 隣の女
03. 恋の煙
04. バースデーケーキの上を歩いて帰った
05. ぜんぶカン
06. 余談
07. CAT WALK
08. ほとんどチョコレート
09. 変身 (GLIDER MIX)
10. 8cmのピンヒール
11. 消えない星
12. majority blues
13. Magical Fiction
14. こころとあたま~湯気
15. 満月に吠えろ
アンコール
EN1. 瑠璃色 (GO!GO!7188カバー)
EN2. シャングリラ




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